生成AI

最終更新日:2026/02/05
AIエージェントの活用事例7選
AIエージェントは、いまや先進企業だけの実験的な技術ではありません。生成AIによる「質問に答えるチャット」から、状況を判断し、複数のツールを連携させ、業務を最後まで実行する――そんな「自律型AI」へと進化し、ビジネスの“標準的な選択肢”になりつつあります。
2026年現在、多くの企業がAI活用のフェーズを「検証」から「成果創出」へと移行させています。特に注目されているのが、人の判断や行動を部分的に代替・支援するAIエージェントです。「AIをどう業務に組み込めばいいかわからない」「PoCで止まり、実務に定着しなかった」そうした課題に対する答えが、すでに成果を出している企業の活用事例にあります。
本記事では、金融・保険から観光、地方の酒蔵、HR領域まで、2026年時点で国内最先端といえるAIエージェント活用事例7選を厳選して紹介します。どの業務に、どのツールを使い、どのような効果が出たのか――自社でも再現可能な視点で解説します。

従来のチャットボットは、あらかじめ用意されたFAQやシナリオに沿って「答える」存在でした。 一方、AIエージェントは目的達成のために自ら判断し、行動を実行する点が大きく異なります。
例えば以下のような違いがあります。
チャットボット:質問に対して回答を返す
AIエージェント:状況を理解→必要な情報を収集→複数のシステムを連携→次のアクションを提案・実行
2024年前後、多くの企業が生成AIチャットを導入しましたが、「業務が本質的に楽にならない」「結局人が手作業で対応している」といった理由で、定着しないケースも少なくありませんでした。2026年にAIエージェントが成果を出している背景には、以下の技術進化があります。
これにより、人の判断を補完しながら業務を完結させるAIとして活用できるようになっています。
現在、AIエージェントは主に以下の領域で活用が進んでいます。

まずは、本記事で紹介する7社(大学含む)の事例を一覧で整理します。
| 業種 | 企業名 | 課題 | 導入ツール | 主要な成果 |
|---|---|---|---|---|
| 損害保険 | SOMPOジャパン | 業務自動化の内製化 | Heylix(AI inside) | 現場主導で複雑業務を自動化 |
| 損害保険 | 東京海上日動 | CX向上と問合せ削減 | RightTouch | 先回りサポートで負荷軽減 |
| 銀行 | 横浜銀行 | 電話対応の逼迫 | Mobi-Voice | 応対時間約5割削減 |
| 観光 | 志賀高原観光協会 | 人手不足・多言語対応 | おこみんAI | 24時間観光案内を実現 |
| 酒造 | 津南醸造 | 海外展開の人材不足 | AIエージェント | グローバル発信を自動化 |
| HR | パーソルグループ | 定性データ収集 | 傾聴AI | 課題分析の精度向上 |
| 教育 | 神田外語大学 | 学生の情報活用力・思考力の強化 | Aconnect(Stockmark) | 議論の活性化とクリティカルシンキングの向上 |

最初に、金融やインフラ業界におけるAIエージェント活用事例をご紹介します。
SOMPOジャパンでは、保険業務の高度化とDX推進のスピード向上が大きな課題となっていました。保険商品や契約管理は専門性が高く、業務フローも複雑なため、従来のRPAや外注による自動化では柔軟な改善が難しく、現場の負担が残りやすい状況でした。特に、業務改善をIT部門やベンダーに依存する体制では、現場ニーズを素早く反映できない点が課題でした。
そこで同社は、ノーコードで構築できるAIエージェント基盤「Heylix」を導入しました。現場担当者自身がAIエージェントを設計し、複数の業務システムと連携させることで、判断を伴う業務フローまで自動化できる体制を構築しています。AIに任せる領域と人が最終判断を行う領域を明確に分けることで、実務に即した形での活用が進められました。
その結果、専門知識が求められる業務であっても内製で自動化を進められるようになり、業務改善のスピードが大きく向上しました。現場主導でDXを推進する文化が根付き、AIエージェントが日常業務の一部として定着しています。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
AI inside、損保ジャパンの業務効率化をAIエージェントで支援。生成AIを活用し転記業務を精度95%で自動化
東京海上日動では、Webサイト上で顧客が手続きに迷っていても、問い合わせが発生するまでサポートできないという課題を抱えていました。結果としてコールセンターへの問い合わせが集中し、顧客満足度の維持とオペレーターの負荷軽減を同時に実現することが難しい状況にありました。
この課題に対し、同社はWeb行動解析型のAIエージェント「RightTouch」を導入しました。AIがユーザーの操作状況をリアルタイムで解析し、入力の停滞やページ遷移などから「困っている兆候」を検知します。そのタイミングでチャットやナビゲーションを提示し、問題解決を先回りで支援する仕組みを構築しました。
この取り組みにより、顧客が問い合わせを行う前に自己解決できるケースが増え、コールセンターの負荷軽減につながっています。同時に、顧客にとってもストレスの少ない導線が実現し、CXの向上が期待されています。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
損害保険分野で国内初。東京海上日動、対話型AIエージェント「スマートエージェント」を導入
横浜銀行では、繁忙期になると電話問い合わせが集中し、「電話がつながらない」という顧客体験上の課題が顕在化していました。特に証明書発行などの定型的な手続きに多くの人手が割かれ、行員の業務負担が大きくなっていたことが背景にあります。
同社はこの課題を解決するため、AIエージェント型ボイスボット「Mobi-Voice」を導入しました。電話での受付から手続き完了までをAIが一貫して対応し、判断が必要なケースのみを行員につなぐ設計としています。これにより、AIと人が役割分担しながら業務を進める体制が整えられました。
その結果、繁忙期には月約1,600件に及ぶ証明書発行依頼を自動で完結できるようになり、応対時間は約5割削減されています。顧客の待ち時間が短縮されただけでなく、行員が本来注力すべき業務に集中できる環境が整いました。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
地銀初、モビルス提供「AIエージェント型ボイスボット」を横浜銀行が導入

次に、観光や地方創生でAIエージェントを活用した事例を紹介します。
志賀高原観光協会では、観光案内業務における人手不足が深刻化していました。観光客からの問い合わせは時間帯や言語が多岐にわたる一方、スタッフによる24時間対応や多言語対応には限界があり、繁忙期には負担が集中していました。
そこで導入されたのが、志賀高原専用に設計された生成AIエージェント「おこみんAI」です。リフトの運行状況や観光スポット、施設情報などを学習させることで、観光客からの質問に対して24時間体制で対応できる環境を整えました。多言語での案内にも対応し、コンシェルジュのような役割を果たしています。
この取り組みにより、観光客は必要な情報をいつでも得られるようになり、利便性が向上しました。同時に、スタッフの業務負担も軽減され、限られた人員でも質の高い観光サービスを提供できる体制が構築されています。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
長野経済研究所、志賀高原専用生成AIエージェント「おこみんAI」β版公開。地域OTA×生成AIで稼げる観光地へ
新潟県の酒蔵である津南醸造では、海外市場への展開を進めたいという意向がある一方、情報発信やリサーチを担う人材や時間が限られているという課題がありました。特に、言語や文化、商習慣の違いがハードルとなり、継続的な海外向け対応が難しい状況でした。
同社はこの課題に対し、AIエージェントを「海外展開のアンバサダー」として活用しています。海外市場の情報収集や発信業務をAIに任せることで、24時間365日体制での対応を可能にしました。人は戦略立案や意思決定に集中できる体制を整えています。その結果、小規模な組織であってもグローバル市場に継続的にアプローチできるようになりました。担当者の負担軽減とともに、海外展開に向けた取り組みのスピードと質が向上しています。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
津南醸造、AIエージェントを活用した自社製品プロモーション支援のテスト運用を開始

次に、人事関連業務にAIエージェントを活用した事例をご紹介します。
パーソルグループでは、人材派遣において顧客からの問い合わせの声を十分に把握しきれないという課題を抱えていました。インタビューやアンケートから得られる定性的な情報は重要である一方、収集・分析に多くの時間と工数がかかり、施策に反映するまでに時間を要していました。そこで同社は、「聴く」だけでなく課題分析まで行えるAIエージェントを導入しました。オペレーターから収集した問い合わせの内容をAIが整理し、分析を行う役割分担を構築しています。
この結果、大人数を対象としたヒアリングが現実的になり、定性データの収集と分析が大幅に高速化しました。さらに、窓口および傾聴AIエージェントで収集した対応データをもとに、顧客がつまずきやすいポイントやVoCを抽出・分析し、サポート対象サービスや製品改善、新規開発につながる提案まで対応可能になりました。
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パーソル「傾聴AIエージェント運用サービス」提供開始。問い合わせ内容を特定するプロセスを、AIで自動化・無人化
神田外語大学は、生成AI時代における主体的な学びと情報活用力の育成を重視し、AIエージェントを教育現場全体に展開した先進的な事例です。
神田外語大学がAIエージェントを導入した最大の目的は、学生の情報収集・思考プロセスを深化させることにありました。生成AIが容易に“答えらしきもの”を提供する現在、単に情報を集めるだけでは思考力や批判的判断力を育成することは困難です。そのため、学生が多様な視点から情報を捉え、客観性と推論に基づく思考を体系的に身につける新たな学習スタイルが求められていました。
この課題に対し、同大学はストックマーク社が提供する情報収集・活用AIエージェント「Aconnect」を2025年度から全学に導入しました。「Aconnect」は国内外約35,000サイトのニュース、論文、報告書から必要な情報を自動で集約し、学生の学びを支援するツールです。導入前は2022年度から一部学部で試行され、授業やゼミにおける情報探索の補助として活用されてきました。その結果、収集した情報を「客観的事実」と「そこから導かれる推論」に整理する学びのプロセスが評価され、全学展開に至っています。
実装後の大きな効果として、情報収集の効率化にとどまらず、学生同士の議論が活性化した点が挙げられます。AIエージェントが提供する多角的な情報を起点に、学生は自ら問いを立て、根拠に基づいて思考し合う機会が増えました。このプロセスは単なる“情報閲覧”ではなく、クリティカルシンキングや論理的思考力の強化につながっています。また、客観的事実とその推論を使い分ける教育設計は、情報リテラシーの向上にも寄与しています。こうした学習体験の深化は、生成AI時代に必要とされる「知の探究プロセス」を学生が実践的に身につけるうえで大きな推進力となっています。
このように、神田外語大学の事例は、AIエージェントを単なる情報検索ツールとしてではなく、学生の思考プロセスそのものを強化する教育インフラとして活用した先進的な実装例と言えます。
神田外語大学、ストックマークのAIエージェント「Aconnect」を全学へ導入

AIエージェントを導入する際、失敗しないための法則があります。その法則について解説しましょう。
AIエージェント導入で最も重要なのは、すべてをAIに任せるのではなく、人とAIの役割を明確に分けることです。なぜなら、AIエージェントは自律的に行動できる一方で、業務上の最終的な判断や責任まで完全に委ねると、品質やリスク管理の面で課題が生じやすいためです。
実際に成果を上げている企業では、AIが情報収集や一次対応、定型的な処理を担い、人は判断や承認といった重要な部分に集中する設計が採用されています。こうした役割分担により、業務効率を高めながらも、安心してAIエージェントを運用できる体制が構築されています。このように、AIに任せる範囲を明確に定義し、人が最終判断を行う設計こそが、失敗しない導入の土台となります。
AIエージェントを実務で定着させるためには、現場の知見や熱量を活用することが不可欠です。なぜなら、業務の多くはマニュアル化しきれない暗黙知に支えられており、それを反映しないAIは「使われない存在」になりやすいからです。
例えば、地域特性や顧客対応の感覚、現場独自の判断基準などをAIに学習させることで、実務に即したアウトプットが可能になります。実際、地域観光や地方企業の事例では、現場の知識を反映したAIエージェントほど活用頻度が高く、評価も定着しています。
結果として、現場の声を起点にAIを育てる姿勢が、AIエージェントの実用性と受容性を高める重要な要素となります。
AIエージェント導入を一過性の取り組みに終わらせないためには、継続的なフィードバックループの構築が欠かせません。なぜなら、AIの判断や行動は導入時点で完成するものではなく、運用を通じて精度を高めていく必要があるからです。多くの成功企業では、AIエージェントの行動ログや回答内容を定期的に確認し、誤りや改善点を洗い出しています。その上で、プロンプトやルール、連携フローを調整することで、業務との適合度を高めています。
このように、ログを確認しながら継続的にチューニングを行う体制を整えることが、安定した成果につながります。

AIエージェントを導入するには、段階があります。AIエージェントの導入のステップについて解説しましょう。
AIエージェント導入の第一歩は、業務内容を整理し、どの業務に適用するかを明確にすることです。なぜなら、AIエージェントが力を発揮するのは、繰り返し発生し、かつ一定の判断を伴う業務だからです。
業務を棚卸しすることで、属人化している作業や負担の大きいプロセスが可視化され、AIに任せるべき領域が見えてきます。結果として、導入後の効果を最大化しやすくなります。
次に重要なのが、AIエージェントに与える権限を明確に定義することです。なぜなら、権限が曖昧なままでは、現場が不安を感じたり、活用が進まなかったりする可能性があるからです。
AIが実行できるアクションと、人が介入すべき判断ポイントを明確に分けることで、安全性と実用性を両立した運用が可能になります。この設計が、信頼してAIエージェントを使い続けるための前提となります。
導入前には、ROI(投資対効果)の算出シミュレーションを行うことが重要です。なぜなら、効果を定量的に把握することで、経営層や関係部署の理解を得やすくなるからです。
どの業務でどれだけの工数削減や価値創出が見込めるのかを整理することで、導入判断の精度が高まります。結果として、現場任せではなく、全社的な取り組みとしてAIエージェントを位置づけることができます。
AIエージェント導入では、最初から全社展開を目指す必要はありません。なぜなら、限定的な範囲で試行する方が、リスクを抑えながら改善点を洗い出せるからです。
特定の部署や業務に絞って導入し、成果を確認しながら徐々に展開していくことで、成功体験を積み重ねることができます。この段階的な進め方が、長期的な定着につながります。
運用段階では、Human-in-the-loopの考え方が重要になります。なぜなら、AIの判断や行動を人が監督・承認する仕組みを設けることで、品質と信頼性を担保できるからです。
AIエージェントを補助的な存在として位置づけ、人が最終責任を持つ体制を維持することで、安心して業務に組み込むことが可能になります。
最後に、AIエージェントを継続的に活用するためには、AIガバナンスの策定が欠かせません。なぜなら、権限管理や承認フローが不明確なままでは、運用が属人化しやすくなるためです。
ルールや責任範囲を明文化することで、組織全体で統一した運用が可能になります。結果として、AIエージェントは一時的な施策ではなく、企業の基盤として定着していきます。
AIエージェントは、単なるツールではなく任務を持つデジタル労働力です。自社の課題に近い事例を参考に、まずは小さく始めることが成功への近道です。
アイスマイリーでは、AIエージェントのサービスとその提供企業の一覧を無料配布しています。自社でのDX推進や業務自動化に活用できる、最適なAIサービスを選定するためにぜひご活用ください。
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