生成AI
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最終更新日:2024/04/10
AI・人工知能の発展で工場のDX化が各企業で進んでいます。今回はディープラーニング画像解析ソフト「NAIT」を提供する株式会社エーディーエステック(以下、ADSTEC社)常務取締役の小嶌勇輝氏に製造現場の声を伺いました。
――まずはADSTEC社について教えてください。
――小嶌氏
弊社は2002年に創業し、画像機器の商社としてアメリカやカナダ、ドイツ、スイスといった海外製の産業用途向けハイエンドカメラを取り扱ってきました。高解像度・高速のカメラを取り扱う上で取り込み速度やポート、大容量のストレージなどパソコンや周辺機器は切っても切り離せません。ハードウェアが凄まじいスピードで進化していた時期だったので、そちらに重点を置いてお客様をサポートしてきました。
――なぜハイエンドカメラの商社がAIのソフトウェア開発に着手したのですか?
――小嶌氏
2016年からディープラーニングが隆盛になりまして、我々も代理店として海外のAI画像解析ソフトウェアを輸入販売しました。海外の産業向けAIソフトを取り扱っていく中で、現場のお客様からのご要望を多く頂戴しました。
こういったお声をお客様から頂くも輸入代理店の立場だと機能改善は難しい状況でした。そこで我々は本当にお客様が欲しいものを提供したいという思いからAI開発をスタートしました。そして、2019年10月からディープラーニング画像解析ソフト「NAIT(ナイト)」の提供を開始しました。
提供:ADSTEC社
“NAIT”(ナイト)は産業用途向け外観検査 AI の導入を実現することが可能なディープラーニングの画像解析ソフトです。難しいスキルを必要とせず、アプリケーションベースでディープラーニングを利用することができます。扱いやすいGUIと”オートディープラーニング機能”によりパラメーターの設定がほとんど必要ありませんので非常に簡単にディープラーニングを使うことが可能です。
――産業現場の声から生まれたのが「NAIT」なんですね。NAITの特徴を詳しく教えてください。
――小嶌氏
NAITはオートディープラーニングアルゴリズムで最適なAIモデルを提示します。そのためAIに関する専門知識がない方でも少ない工数で簡単に導入できます。
オートディープラーニングの利点
提供:ADSTEC社
――小嶌氏
また、多くの製造現場ではパソコンをインターネットに繋がないため、インターネット経由でのライセンス発行はナンセンスだと考えております。ですから、NAITはサブスクリプションのライセンス形態ではなく、買い切りのパッケージでご提供しております。
――弊社にも「買い切りで予算内に収めたいんです」という声を現場の方から直接頂くので、現場の声に全力で応えた結果という部分に納得しました。ユーザー様の声から生まれた機能は他にもありますか?
――小嶌氏
その他の特徴の一つにサーバー機能が搭載されている点が挙げられます。USBドングルが挿さっているデバイスであれば複数ライセンス購入することなく遠隔で利用できる機能です。他社ソフトにもあまり実装されていない機能で、例えば1週間のプロジェクトで担当者が途中休んだ場合でもGPUなどのハードウェアリソースを占有することなく使い切ることができます。使用するユーザー数、GPU数によって異なるライセンスをご提供しております。
この機能は以前輸入販売していたソフトウェアにも搭載されていました。ライセンスの追加購入が見込めないため短期間でこの機能は制限されましたが、復活してほしいというお客様からの要望が多く、NAITを開発する際に特徴ある機能として実装しました。
提供:ADSTEC社
――小嶌氏
リリース後には、ユーザー様の声を反映してユーザーインターフェース(UI)をアップデートしました。NAITはブラウザ経由でサーバーにアクセスする仕様で、画像のマーキング作業をする際にエンジニアからすると「画像1枚ずつカーソルを押せばいい」と思っていました。ですが、何十枚何百枚をアノテーション作業をされる方からすると、左手をマウスに置いて右手はカーソルキーでマーキングしたいという方が多く、ユーザーインターフェースをアップデートすることになりました。
――社内のエンジニアにまで現場の声が届いてアップデートする取り組みは素晴らしいですね。
――最近はどういったご相談が寄せられますか?
――小嶌氏
最近は食品業界からのご相談が多く寄せられております。食品業界は保守的でこれまで静観していましたが、最近はアンテナが高く導入に意欲的です。健康食品メーカーの例を挙げると、コロナ禍で増産が相次いでるものの工場が地方にあって「日本人が集まらない」という課題がありました。さらに、10度前後の寒い環境で5kgほどの材料を1日何千何万個扱うとなると目視検査の精度も落ちてしまいます。現場にNAITを導入することで少ない人材で高い精度の検査環境を構築できました。
――NAITを導入する際はどのような流れで進むのでしょうか。
――小嶌氏
まずはPoC検証を無料の範囲内で行って、どの程度精度が出るかを確認します。その際に画像の撮り方が甘かったりした場合は適宜サポートいたします。その後、導入が決まった場合は「オフライン検査(生産ラインから外れて行う検査)」用の機械からスモールスタートで段階的に導入します。このフェーズでデータを蓄積していき、ディープラーニングの精度を高めていきます。
ディープラーニングの精度が実用レベルに達した段階で、生産ラインに組み込むかどうかといった運用方法をお客様と検討し、実装するとクローズとなります。
――無料で手厚いサポートを受けられる点はNAITの強みの一つですね。
提供:株式会社第一包装機製作所
――小嶌氏
こちらのお客様はNAITと一緒にHPワークステーションも導入しました。PoC検証の際に購入したパソコンがうまく動作しなかった時、HPワークステーションを貸し出していただいたところ、動作検証ができたためお客様に納得してもらった形で乗り換えていただきました。GPUが入ったPCを迅速に貸していただける業者さんはほとんどないため助かります。
使用モデルは、案件や用途によって異なり、HP Z4 G4 Workstation や、HP Z8 G4 Workstation のほか、モバイルワークステーションの使用実績がございます。
――HPワークステーションの検証機貸し出しによってPoC検証がうまくいったんですね。HP製品の魅力について聞かせてください。
――小嶌氏
弊社では工場のロボットまで含めたインテグレートを提供しています。ですから、HPワークステーションのポート数の多さとすべてのポートがフルに活用できる点が魅力的でした。また、HPワークステーションは基本設計がしっかりしているためカメラとマザーボードとの相性も良く正常に動作してくれます。
さらに、我々が取り扱う海外製のカメラを組み込む際も動作確認済みのものが多く、グローバルスタンダードな製品として安心してHPワークステーションを使用できます。ディープラーニングの失敗は処理速度が問題になることが多いですが、高スペックのワークステーションを採用することで処理速度の問題も解決します。
――ありがとうございます。HP製品の特長を日本HPの新井さんからもお話を伺いたいと思います。
株式会社 日本HP サービス・ソリューション事業本部 クライアントソリューション本部
ビジネス開発部 ビジネスデベロップメントマネージャー
新井 信勝 氏
――新井氏
お褒めの言葉ありがとうございます。私どもはマシンビジョンで多くの実績があり、ボードメーカー様との相性などの問題がありましたら地道に解決してきました。また、HPワークステーションは米軍調達基準をクリアしているので、耐久性や信頼性の面に関しては、他社と比べて自信を持って提供しております。
また、PoCで検証機が必要になりましたら、短期の無償貸出しをさせていただいたり、ディープラーニングに必須となりますGPUに関しては、NVIDIA社と密接に連携しております。さらに、ニーズに合わせて使い分けていただける、弁当箱サイズのGPU搭載ワークステーションから、2CPU とハイエンドGPUを複数搭載できる拡張性の高いモデルまで、幅広い製品を取り揃えております。
――信頼して使えることは重要ですね。私も大学時代にHPのノートパソコンにはお世話になりました。
――最後にAI導入を検討している方に向けて伝えたいことがあればお聞かせください。
――小嶌氏
ディープラーニングと聞くと敷居が高いと感じられる方が多いですが、我々がディープラーニングのソフトウェアを取り扱い始めた当初に比べると処理速度や価格的な面でも導入をしやすくなってきたと実感しています。ハードウェアを含めても費用は1,000万円もかかりません。
――1,000万円かからずにスタートを切ることができるんですね!
――小嶌氏
はい。それくらいAI導入の壁が低くなっております。弊社でも大手から中小企業様まで100社以上のAI導入をサポートしております。NAITを使えば、AIの専門家でなくてもAIを簡単に検査ラインに組み込むことができます。
しかし、導入にはNAITに加えてカメラやパソコンも必要です。我々はカメラ商社として培ってきたノウハウがあるので、カメラの選び方はもちろんのこと撮像データの集め方やHPワークステーションの組み込みなどハードとソフトの両面でお客様をサポートして参ります。機器の貸し出しも行っているのでお気軽にお声かけください。
――本日は貴重なお話をありがとうございました。
取材を通して、ADSTEC社のお客様の声をサービスに反映していく姿が印象的でした。産業用ハイエンドカメラ商社として培ってきたノウハウがNAITには集結しています。ADSTEC社ヒアリングからHPワークステーションなどの機器選定、PoCまでワンストップで解決できるので、AI検査導入を検討している方は是非一度相談してみてください。
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