【やなしま社長のAI・データお悩み相談室VOL.3】Q AIのデータ分析を使いこなせる理想の人材象とは?
最終更新日:2024/04/09
新連載コラム第3弾・AI・データお悩み相談室
こんにちは!AIsmiley編集部の伊藤です。
今回もデータの活用のプロフェッショナルで、データマーケティングカンパニーの株式会社インティメート・マージャー 代表取締役社長の簗島亮次(やなしま りょうじ)社長をお招きし、データ活用のためのお悩み相談室としてラジオ形式でお届けします。身近な同僚や競合他社と一歩差をつけるAI・データ活用の勘所を分かりやすくお伝えします。
―――やなしま社長、本日はどうぞよろしくお願いします。
やなしま社長:よろしくお願いします。
――― 第3回目は、システム開発会社、40代の男性Tさんからのお便りです。
システムエンジニア向けのAI教育サービスを探しています。当初は、AI研修サービスを導入し、将来的には自社でAI関連のシステムを開発したいと考えていました。AIやデーサイエンティストについて知れば知るほど、AI開発のための言語を学ばせることと、実際にAIを開発できること、AIを活用したデータ分析を使いこなすことが異なる人材像であると感じています。特に、AIのデータ分析を使いこなす人材を社内で育成するのか、それとも社外から人材を獲得してくるのか迷っています。
(Tさん 40歳 システムエンジニア)
AIを使いこなす人材は、社内育成する or 社外から人材獲得する?
ーーー今回は「AIのデータ分析を使いこなす人材の社内育成と人材獲得」について相談をいただきました。
やなしま社長:AIのデータ分析を使いこなす人材を社内で育成するのか、それとも社外から人材を獲得してくるのか、たくさんの方が悩まれていると思います。今回はインティメート・マージャーでの採用の方針を通してお話させていただければと思います。
ーーーインティメート・マージャーでは何か特別な人材獲得の方法があるのですか?
やなしま社長:相談をいただいている企業様と同様に人材獲得の難易度が高いという点で取り巻く環境は同じです。インティメート・マージャーは、データマネジメントプラットフォームというデータを使ったマーケティングの基盤のサービスを用いたマーケティング支援や事業開発などの支援を行っています。取り扱っているデータも年間で2兆件程度あり、そのデータを元にした提案を行う人材が必要です。
ーーー提案のために求められる専門知識も高そうですね。専門知識が無いせいで業務に支障がでないか心配です。
やなしま社長:転職活動や就職活動で弊社を受けにくる候補者の方からよく「専門知識がないが業務に支障がないか」といった質問を受けることが多いです。その際、インティメート・マージャーでは「業務において、事前に専門知識は特に必要なく、データ活用に興味があることが重要」だという話をしています。
ーーーそうなんですね!少し驚きました。
やなしま社長:皆さん驚かれるのですが、このような人材獲得方針を取っている理由には、人材獲得の難易度の高さのほかにももう一つ、人工知能やデータ解析のツールの進化がとても早いという点が背景にあります。
AIやデータ解析のツールの進化
ーーーこの数年でもAI・人工知能を搭載したデータ解析のツールやプラットフォームは増えましたね。
やなしま社長:数年前と比較すると人工知能やデータ解析のツールはプログラミングの知識やアルゴリズムの詳細などを知らなくても使えるツールがとても増えてきています。多少難しい技術を使っているツールでも、ユーザーが利用する際はインターフェイスから数クリックで実施することができるケースもあります。
ーーー「ノーコード」「ローコード」「ドラック&ドロップするだけ」というキャチコピーも最近よく見かけます。
やなしま社長:AIやデータ解析のツールの進化によって、人工知能に関する詳細の知識や裏側のアルゴリズムを作れるといった価値は、中長期的に機械に置き換わっていくことも考えられます。もちろん、最先端の人工知能の技術やアルゴリズムなど、まだまだ一般的なサービスに組み込まれていないような仕組みを使いたい場合は、豊富な知識を持った人材に業務を依頼することも必要です。今後はそういった難易度の業務を行うことは減っていくように思います。
ーーーAIの技術を使ったツールをいかに使いこなせるかが大切なんですね
やなしま社長:AIやデータ解析のツールの進化を前提に考えれば、どちらかというと人工知能やデータ解析の技術というよりも業務に必要なレベルのデータ活用ができるツールをうまく使いこなすということができる人材を確保することが必要だと我々は考えています。
AI・データ活用人材に求められるスキルについて
ーーー意欲関心と合わせて、AI・データ活用人材に求めているスキルはありますか?
やなしま社長:インティメート・マージャーではデータ活用人材に求めるスキルはデータ自体の解析技術や数学的な素養ではなく、データを活用すべき領域に対する知識や解決したい課題を持っているかどうかだと考えています。データ活用を行う領域の知識を持っていてかつ、データ分析や人工知能に関する知識を持っている人がいればもちろんベストなのですが、そういった人を採用することはとても難しいと思います。
ーーー「データ活用を行う業界知識」と「人工知能に関する知識」どちらを優先すべきだと思いますか?
やなしま社長:「業界の知識はあるが、データ分析や人工知能に関する知識がない人」と「データ分析や人工知能に関する知識があるけど、業界知識がない人」だとどちらの方が人材獲得のコストが低いか、育成のコストが低いかということを考えてみたいと思います。なんらかの事業をやっている会社においては、今の事業領域に関する知識を持っている人は比較的容易に社内から見つけ出すことができます。一方、データ分析や人工知能に関する知識を持っている人を社内から見つけ出すのは難しく、外部の人材を獲得する必要となるケースが多いです。
ーーー実際には、既存事業に精通した選抜社員にAIを教えるか、外部のAI人材に業界知識を教えるかの二択になるわけですね。
やなしま社長:育成コストという面で言えば、前述の通りデータ分析や人工知能に関するツールを利用する難易度は年々下がっていきます。一方で、業界に関する知識はある程度習得するのに時間がかかることが多いと思います。これら2点を考えた上で、データ分析や人工知能に関する知識を持った人を見つけてきて、業界知識を身につけてもらうよりも業界知識を持っている人に対してデータ分析や人工知能に関する知識を身につけるという方が効率がいい方法であると考えています。
専門性からツールへ、AI人材は育成という選択
ーーー人工知能やデータ分析ツールがますます進んでいきますね。今後の展望について教えて下さい
やなしま社長:データ分析や人工知能に関するツールは近年で利用がかなり容易になってきており、今後もその傾向は続いていくと考えています。スキルは専門性というよりもツールに近いものになってくると考えています。ただ、まだまだ多くの会社がそれらのスキルが特別なもので自社で育成することが難しく外部から人材を獲得してこないといけないと考えている企業も多いと思います。データ分析や人工知能に関する知識は自社内で育成可能なものであると考えると選択肢を広げることができます。選択肢が広がってはじめて、より社内にデータ活用を広げていくことができると思うので、そういった会社が今後増えるといいですね。
―――やなしま社長、本日はありがとうございました。
AIsmileyではAIの導入やデータ活用にまつわるお悩みを募集しています。AI開発の進め方や、自社データの分析の仕方、機械学習の疑問など、テーマは問いません。将来取り組みたいAIに関するお悩みから、日常のデータ活用の些細なお悩みまで、下記フォームに「お悩み相談室」と記載の上、ご質問をお寄せください。
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この記事を監修した人
プロフィール
株式会社インティメート・マージャー代表取締役社長
簗島 亮次(やなしま りょうじ)
2013年、Googleのレイ・カーツワイル氏が2020年に起きると予測した「あらゆるデータがひとつに統合される」という革命を冠した株式会社インティメート・マージャーを創業し、2019年10月東証マザーズへ上場。2020年にはデータ活用領域のさらなる拡大を目指し、Fin Tech事業会社クレジットスコア株式会社や、Privacy Tech事業会社Priv Tech株式会社を設立。
データサイエンティストというアカデミックな視点と経営者としてのビジネスの視点から、日本最大級を誇る約4.7億のオーディエンスデータを用いてさまざまな業界の課題解決を支援している。
「世の中のさまざまな領域における、データを使った効率化」をミッションに掲げ、国内DMP市場導入シェアNo.1(※1)のデータ活用プラットフォーム「IM-DMP」を保有するデータマーケティングカンパニー。約4.7億のオーディエンスデータ(※2)と高度な分析技術を掛け合わせたデータ活用プラットフォーム「IM-DMP」の提供・構築支援、データ活用に関するコンサルティングサービスを提供しています。また、プライバシー保護に関する取り組みとして、一般社団法人 日本経済団体連合会が掲げる「個人データ適正利用経営宣言」に賛同しています。今後はSales TechやFin Tech、Privacy TechなどのX-Tech領域に事業を展開し「データビジネスのプロデューサー集団」を目指します。
※1出典元:「DataSign Webサービス調査レポート 2021.2」
※2⼀定期間内に計測された重複のないブラウザの数を⽰します。多くの場合、ブラウザの識別にはCookieが利⽤され、⼀定期間内に計測された重複のないCookieの数のことを⽰します。
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