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最終更新日:2026/05/07
RFP(提案依頼書)とは?
「ベンダーからの提案が、自社の意図とまったく違った」「開発途中で追加費用が膨らんでしまった」——システム開発やWeb制作の外部委託で、このような手痛い失敗を経験したことはありませんか?
これらのトラブルを未然に防ぎ、自社に最適な提案を引き出すための強力な武器となるのが「RFP(提案依頼書)」です。
本記事では、RFPの基本知識からRFI・RFQとの違い、具体的な書き方や失敗しないためのポイントまで、実務ですぐに使えるノウハウを徹底解説します。はじめて作成する方はもちろん、既存のフォーマットを見直したいご担当者様も必見です。

RFPを適切に活用するために、まずは基本的な意味を押さえましょう。混同されやすいRFI・RFQとの違いや、要件定義書との関係を確認しましょう。
「RFP」とは「Request for Proposal」の略称で、「提案依頼書」と訳されます。
企業がシステム開発やWebサイト構築、業務委託などのプロジェクトを外部のベンダーに依頼する際に、自社の背景や課題、要望、前提条件を書面で提示し、提案を求めるための文書です。
RFPは発注側が作成し、複数のベンダーから提案を受けて比較・選定する際の基準として使われます。
RFPには一般的に、次のような内容を記載します。
ベンダー側はRFPの内容をもとに提案書や見積書を作成し、発注側はそれらを比較検討して依頼先を選定します。
つまりRFPは、発注側の考えや条件をそろえて伝え、比較しやすい形で提案を受け取るための文書です。
RFPとよく混同される文書に、RFI(情報提供依頼書)とRFQ(見積依頼書)があります。
一般的には、RFIで情報を収集し、RFPで提案を募り、RFQで価格条件を確認するという流れで進めます。
| 項目 | RFI(情報提供依頼書) | RFP(提案依頼書) | RFQ(見積依頼書) |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | Request for Information | Request for Proposal | Request for Quotation |
| 目的 | 市場やベンダーの情報を集める | 提案内容や進め方を確認する | 価格や見積条件を確認する |
| タイミング | 検討の初期段階 | 提案を募る段階 | 価格条件を詰める段階 |
| 記載内容 | 企業情報、実績、提供可能なサービス、技術情報など | 背景、目的、要件、予算、スケジュール、評価基準など | 数量、仕様、納期、見積条件など |
| 依頼先の目安 | 幅広い候補 | 比較対象として絞り込んだ候補 | 条件確認を行いたい候補 |
なお、案件によって運用は異なります。RFIを省略してRFPから始めることもあれば、RFPの中で見積書の提出まで求めることもあります。
RFPと要件定義書はどちらもプロジェクトに必要な条件をまとめる文書ですが、役割は同じではありません。
RFPはベンダーに提案を依頼するための文書であり、要件定義書は導入や開発に必要な要求を具体化するための文書です。
案件によっては、発注側が先に要件をまとめ、その内容をもとにRFPを作成することもあります。
| 項目 | RFP(提案依頼書) | 要件定義書 |
|---|---|---|
| 目的 | ベンダーに提案を依頼する | 導入・開発に必要な要求を具体化する |
| 作成タイミング | ベンダー選定前 | ベンダー選定前に発注側がまとめる場合と、選定後に具体化する場合がある |
| 作成者 | 発注側 | 発注側が主導し、必要に応じてベンダーが支援する |
| 記載レベル | 背景、目的、要件、条件、評価基準など | 導入・開発に必要な要求・要件をより具体的に記載する |
| 記載例 | 月次決算にかかる日数を半減したい | 自動仕訳機能に必要な処理条件を定める |
RFPでは、背景、目的、必要な機能や条件を示したうえで、製品の選定や実装方法の詳細は提案に委ねるのが一般的です。細かな実装まで発注側が先に固定してしまうと、提案の幅が狭くなる場合があります。

RFPは古くからシステム調達の場面で使われてきましたが、近年ではその重要性がさらに高まっています。ここでは、RFPが必要とされる代表的な背景とシーンを解説します。
企業のDX推進に伴い、IT投資の規模と対象領域は広がっています。クラウドERP、SaaS、AI活用など選択肢が増える中で自社に合うツールを見極めるには、要件や前提条件を書面で共有することが欠かせません。
経済産業省は2018年のDXレポートで「2025年の崖」を示し、以降もDXレポート2、2.1、2.2などを通じてレガシーシステムの刷新に関する課題を継続的に提起してきました。
老朽化したシステムの刷新では、現行業務や移行条件の伝達不足が費用増や遅延につながるおそれがあります。こうした背景から、RFPによる事前共有の重要性が高まっています。
参考:ITシステム「2025年の崖」の克服と DXの本格的な展開
クラウドサービスやSaaSの普及により、業務課題に対してさまざまなベンダーがサービスを提供するようになりました。
複数の候補から依頼先を選ぶには、同じ情報・同じ条件で各社に提案を依頼し、横並びで比較できる土台が必要です。RFPなしに個別の口頭説明だけで進めると、伝える内容にばらつきが生じ、提案そのものを比べにくくなります。
基幹システムの刷新や大規模なWebサイトリニューアルなど、投資額が大きいプロジェクトではRFPの必要性が特に高くなります。
口頭や簡易な依頼書だけでは要件の伝達漏れや認識のずれが起きやすく、開発途中での仕様変更や手戻りがコスト増やスケジュール遅延に直結するためです。RFPで事前に要件を明確にしておくことは、リスク低減につながります。
また、金融のようにセキュリティ要件が厳しい業界や、公的機関の調達のように公平性や透明性が重視される場面では、条件や提出方法を書面で明確にすることが欠かせません。
公的調達ではRFPではなく、仕様書や入札説明書など別の名称になることもありますが、条件を事前にそろえて示す考え方は共通しています。

RFPの作成には労力がかかりますが、それを上回る利点があります。ここでは、RFP作成による4つのメリットを解説します。
RFPに要件を文書化しておけば、すべてのベンダーに同じ情報を同じ精度で伝達できます。口頭だけの説明では、担当者ごとに解釈が異なったり、伝達漏れが発生したりするおそれがあります。
しかし、RFPがあれば、そうした「言った・言わない」のトラブルを未然に防げます。
特に、発注側の窓口担当者が複数いる場合や、ベンダーとのやり取りが長期間にわたる場合に役立ちます。
共通のRFPをもとに各社が提案を行うため、機能、コスト、体制、サポートなどを横並びで評価できます。評価基準をRFPの中であらかじめ示しておけば、ベンダー側もどこに重点を置いて提案すべきか判断できます。発注側にとっても、選定理由を社内で説明しやすくなります。
RFPを作る過程そのものが、自社の現状や目指す姿を見直す機会になります。
あいまいだった業務上の課題を言葉にして共有できるため、プロジェクトの方向性を社内でそろえやすくなります。経営層、情報システム部門、現場部門の考えを合わせる場としても、RFP作成は役立ちます。
RFPで要件を事前に明確にしておけば、開発途中での仕様変更や追加要件の発生を抑えられます。
ベンダーはRFPの記載内容をもとに人員体制、工数、費用を見積もるため、後から条件が増えるとスケジュールや費用に影響します。
RFPの段階で必要事項をできるだけ明らかにしておくことが、その後の進行を安定させる助けになります。

RFPには多くのメリットがある一方で、作成にあたって知っておくべきデメリットと注意点もあります。事前に把握しておくことで、対策を立てられます。
RFPには自社の課題や要件を記載する必要があり、社内の各部門へのヒアリングや情報の取りまとめに工数がかかります。プロジェクトの規模が大きいほど負荷は増えるため、早めに着手してスケジュールに余裕を持たせることが重要です。
RFPで詳細な要件を提示した後に仕様を変更すると、ベンダーは人員計画や見積もりを見直す必要が生じます。結果として、スケジュールの遅延や追加コスト発生につながるリスクがあります。
RFP提出前の段階で社内の合意形成を行い、要件の抜け漏れがないかを複数の関係者で確認しておくことが大切です。
要件を細かく指定しすぎると、ベンダーが持つ知見や別の進め方が活かされにくくなります。「何を実現したいか」はしっかり伝えつつ、「どう実現するか」には一定の余地を残すことが大切です。RFPの詳しさは、プロジェクトの特性に応じて調整しましょう。

RFPはいきなり書き始めるものではなく、事前の準備が品質を左右します。
ここでは、基本的な作成フローを5つのステップに分けて解説します。
自社の現状を正確に把握し、業務フローやシステム環境のボトルネックを洗い出します。この段階では、経営層、情報システム部門、現場担当者など、関係する部門へのヒアリングが欠かせません。
部門ごとに見えている課題は異なるため、さまざまな角度から情報を集めましょう。
経営層からは経営方針や目指す姿を、情報システム部門からは技術的な制約や現行システムの状況を、現場からは日常業務の具体的な困りごとを聞き取ることが重要です。
洗い出した課題をもとに、プロジェクトで実現したい将来像を言葉にします。ゴールは、できるだけ数値で示すのがおすすめです。
例としては、次のようなものがあります。
目標が具体的であれば、ベンダーも提案の方向性を定めやすくなります。
自社の課題に対応できそうな企業をリストアップし、Webサイト・導入事例・業界レポートなどを参考に候補を絞り込みます。
必要に応じてRFIを発行し、詳しい情報を収集するのもこの段階です。最終的にRFPを提出する候補は、比較検討がしやすい3〜5社程度にまで絞り込むのが一般的です(案件規模により変動します)。
ここまでの準備をもとに、RFP文書を作成します。「社外の人が読んでも正確に意図が伝わるか」を常に意識し、社内用語や略語はできるだけ避けましょう。作成ツールはWord、PowerPoint、Googleドキュメントなど、共有・編集しやすいものを選びましょう。
たたき台の作成に生成AIを活用する方法もあります。
ただし、AIの出力はそのまま使わず、自社固有の事情が反映されているか、要件に抜け漏れがないかを人の目で確認したうえで使いましょう。
生成AIを使う場合は、機密情報や個人情報を入力してよいかを社内ルールと利用規約で確認し、出力内容は事実関係も含めて確かめることが必要です。
完成したRFPを候補ベンダーに送付し、提案書・見積書の提出を依頼します。
送付から提出までの期間は、案件の規模や質問対応の有無によって変わりますが、小〜中規模の案件では2〜4週間程度が目安です。
提案書の作成や社内確認に必要な時間を踏まえて、無理のない期限を設定しましょう。提案書を受領したら、あらかじめ設定した評価基準にもとづいて各社の提案を比較し、必要に応じてプレゼンやデモも実施したうえで発注先を決定します。
RFPに記載する項目は案件によって異なりますが、まずは「プロジェクト概要」「提案依頼内容」「選考の進め方」の3つに分けて考えると、まとめやすくなります。
必要に応じて、本文とは別に業務フロー、要件一覧、現行システム構成図、質問票、評価表などを添付すると、提案内容をそろえて比較できます。
ベンダーがプロジェクトの全体像を把握するための情報を記載します。主な記載項目は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 会社概要・組織情報 | 事業内容、規模、拠点、組織構成 |
| 背景と課題 | プロジェクト発足の経緯、現状の課題を業務別・機能別に分けて記載 |
| 目的とゴール | 品質、費用、納期の観点で、できるだけ数値を交えて示す |
| 予算 | 初期開発費に加え、保守運用費やライセンス更新費も含む総額を意識 |
| 全体スケジュール | 月単位・週単位のタイムライン |
ベンダーに何を提案してほしいのかを具体的に示すパートです。
| 項目 | 内容 |
| 機能要件 | ユーザー管理、データ入出力、帳票出力、外部連携、ワークフローなど主要機能 |
| 非機能要件 | セキュリティ、パフォーマンス、可用性などの条件 |
| 現行システム構成 | システム構成図、パッケージ名、データ連携方法、端末やサーバーのスペック情報 |
| 体制・プロジェクト管理 | 求める体制、定例会議の頻度、進捗報告の方法 |
| 契約条件 | 契約形態(請負・準委任など)、支払い条件 |
提案の評価プロセスに関する情報を記載するパートです。
| 項目 | 内容 |
| 選定スケジュール | RFP発行日、提案期限、プレゼン実施日、選定結果通知日、契約締結日、導入開始日 |
| 評価基準 | 導入実績、技術力、コストの妥当性、サポート体制、PM経験など |
| 提出方法 | 提出先、形式(PDF、PowerPointなど)、部数、質問の受付方法と期限 |
選考プロセスをあらかじめ示しておくことで、ベンダー側も必要な準備を進められます。

ここまでの内容を踏まえてRFPを作成しても、いくつかの落とし穴にはまってしまうケースがあります。
よくある失敗を防ぐために、特に重要な3つのポイントを押さえておきましょう。
「使いやすいシステム」「高速な処理」といった表現は、ベンダーごとに解釈が異なります。以下のように客観的な数値で記述しましょう。
| NG例(あいまい) | OK例(具体的) |
|---|---|
| 使いやすいUI | 画面遷移を3クリック以内に収める |
| 高速な処理 | 全画面処理を5秒以内で完了させる |
| 柔軟な拡張性 | ユーザー数1万人への増加に対応可能 |
作成後は、関係者以外の第三者にも読んでもらい、解釈が分かれそうな箇所がないか確認するのがおすすめです。
RFP作成者だけの知見で書いた文書は、特定部門の視点に偏りがちです。そのためRFP作成者は、各部門の視点を集めて文書に反映する役回りを担います。
ヒアリングの漏れはそのまま提案の精度低下につながるため、十分な時間を確保して進めましょう。
すべての要件を同列に記載すると、ベンダーはどこに注力すべきかわかりません。「必須(Must)」と「希望(Want)」を明確に分け、優先順位を示すことが重要です。
具体的には、要件一覧にMust/Wantの列を設けたり、重要度をA・B・Cのランクで示したりする方法があります。この区別があることで、限られた予算の中でも優先度の高い項目を中心に提案してもらえます。
RFP(提案依頼書)は、システム開発やWebサイト制作などを外部に委託する際に、発注側の要望や前提条件をベンダーへ伝え、提案を比較しやすくするための文書です。
作成には手間がかかりますが、最初に背景、目的、要件、評価基準を明確にしておくことで、その後のやり取りや認識合わせを進められます。ベンダーとの行き違いを減らす第一歩として、社内の関係者とともに丁寧に作成しましょう。
アイスマイリーでは、生成AI のサービス比較と企業一覧を無料配布しています。課題や目的に応じたサービスを比較検討できますので、ぜひこの機会にお問い合わせください。
民間企業では、RFPの作成が法律で義務付けられているわけではありません。ただし、複数のベンダーを比較する場合や規模の大きい案件では、作成しておくほうが進めやすくなります。なお、公的機関の調達では、会計法令や各機関の手続に沿って仕様書や入札説明書などの文書を作成して進めます。
作成にかかる期間は、案件の規模や社内調整の状況で変わります。小〜中規模の案件なら数週間でまとまることもありますが、大規模システム導入ではさらに時間を要することがあります。関係部門への確認や現行業務の把握に時間がかかるため、余裕を持って着手するのがおすすめです。
Word、PowerPoint、Googleドキュメントなど、関係者間で共有・編集しやすいツールであれば問題ありません。テンプレートの活用も有効です。上層部への報告資料としても使う場合は、社内で広く使われているソフトを選ぶとよいでしょう。
可能であれば記載をおすすめします。ベンダーは予算に応じて体制や提案内容を調整するため、予算感が不明確だと過大・過少な提案が届くことがあります。正確な金額が未定でも、上限額や想定レンジを示しておくと提案を受けられます。初期費用だけでなく、保守運用費も含めた総額を意識しましょう。
ChatGPTやClaudeなどの生成AIを使って、構成案やたたき台を作ることはできます。ただし、入力内容の取り扱いはサービスやプランごとに異なるほか、不正確な内容が出力されることもあるため、そのまま提出用文書として使うのは避けましょう。機密情報や個人情報の扱いは社内ルールと利用規約を確認し、最終的な文面は人が確認したうえで使うことが大切です。
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