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Claude開発企業「Anthropic」とは?注目される背景・将来性を解説

最終更新日:2024/04/17

Anthropic(アンソロピック)は、最新AIチャットボットのClaude(クロード)の開発企業として話題のスタートアップ企業です。AmazonやGoogleからも資金調達や提携を達成しており、企業価値も急成長すると見込まれています。Claudeの性能やビジネス展開が世界的に取り上げられたことで、Anthropicの名前を聞いたことがある人もいるでしょう。

本記事では、Anthropicの概要から注目を集める背景、将来性などについて解説します。Claudeのおおまかな特徴も踏まえつつ企業の魅力をお伝えしますので、ぜひご覧ください。

Anthropic(アンソロピック)とは?

Anthropic(アンソロピック)とは、2021年に設立されたアメリカのスタートアップ企業です。OpenAI社の元幹部が創設した法人で、AI技術の研究や開発、販売などを手掛けています。「Anthropic」という英単語は、日本語では「人類の」「人間の」などと訳されます。

同社の代名詞となる製品が、対話型AIチャットボット「Claude(クロード)」です。OpenAIが開発したChatGPTと同じように、入力した質問などのプロンプトに対して適切な回答を生成します。

Claudeはすでに複数のアップデートが実施されており、2024年3月時点には最新モデル「Claude3」が発表されています。

Anthropicが掲げる理念

Anthropicは、企業理念(パーパス)として「人々が信頼できるシステムの構築を目指し、AI研究に専念すること」を掲げています。Anthropicでは、人間がAI技術を利用する上で透明性が重要であり、AIの意思決定プロセスの透明性を保証する必要があると考えています。

AIが判断を下した理由や経緯、AIの行動によって生み出される結果などの可能性を把握することで、社会的に意義のあるAI活用の実現が期待できます。Anthropicでは利益を得るための研究・開発だけでなく、安全性と信頼性の高いAI技術の確立を目指しています。

Anthropic(アンソロピック)が注目を集める理由

Anthropicは設立3年目の新しい企業でありながら、AI業界のトップ企業であるOpenAIのライバルとして名前が挙がるほど注目度が高まっています。ここでは、Anthropicが注目を集める理由や背景について解説します。

OpenAIの元メンバーが2021年に設立したスタートアップ企業

Anthropicは、OpenAIの元社員によって立ち上げられたスタートアップ企業です。OpenAI社の幹部であったDario Amodei氏やDaniela Amodei氏らが、同社のやり方や方針に異議を唱え、退社後に別の法人を設立した経緯があります。

同社の代表AI製品であるClaudeがOpenAIのChatGPTと並ぶ高い性能を実現しつつ、より安い価格で提供することに成功しているのには、こうした背景があります。

2023年にAmazonと戦略的提携を結ぶ

Anthropicは、2023年9月にAmazonと戦略的提携を結び、新しいAIモデルの開発支援を目的とし、最大40億ドル(約5,900億円)の出資を受けることを発表しました。Anthropicの生成AIモデル開発を強化するために、Amazonが継続的に投資することを意味します。

将来的には、AIで強化された家庭用デバイスの販売やAmazonサイトでのショッピングサービスにおけるAI活用を目指しています。

現在Amazon Web Services(AWS)のユーザーは、フルマネージド型サービス「Amazon Bedrock」にて「Claude2.1」モデルを使った生成AIアプリの構築や強化が可能です。

AI業界でも異例の資金調達を実現

Anthropicが注目を集める理由には、AI業界でも異例と言われるレベルの資金調達を成功させたことが挙げられます。2023年5月にGoogleやSalesforceなどから約4億5千万ドル、アジアの通信会社やAmazonから出資を受けています。

さらに、Google社からは追加で20億ドルを獲得し、わずか1年の間に5回の資金調達を通して約73億ドル(約1兆768億円)という高額資金を調達しました。2024年3月には、Menlo Ventures社からも7億5千万ドルの投資が決定しています。

名だたる有名企業から次々と巨額の資金調達を短期間で実現した背景には、契約内容も関係しています。一部の契約では、投資企業が提供するチップやクラウドサービスをAnthropicは利用することで、調達資金が投資家に還元される仕組みが盛り込まれています。

なお、Googleなどからの約4億5千万ドルという投資は、2023年のOpenAIに次ぐ規模と言われており、多くの企業がAnthropicに大きな期待を寄せていることがわかります。

AnthropicのAIチャット「Claude(クロード)」とは?

Anthropicの代表サービスである「Claude(クロード)」について見ていきましょう。

Claudeは、Anthropicが手掛ける最先端のAIチャットシステムです。仕組みはChatGPTや GoogleのBardなどと同様に、「claude.ai」にてテキスト対話形式で質問に対する回答を生成します。

最初のモデルである「Claude-v1」と「Claude Instant」の2つが2023年3月に一般公開された後、同年7月には「Claude2」、同年11月に「Claude2.1」がリリースされました。最新版「Claude3」は、2024年3月に公開されています。

Claudeには無料版がありClaude2までの使用ができますが、Claude2.1を利用するためには有料版(Claude Pro)を契約する必要があります。

Claudeの特徴について詳しく解説します。

OpenAIのGPT-4並の性能を低コストで実現

Claudeでは、OpenAI社のGPT-4と同等のパフォーマンスを、より安価で提供できるコストパフォーマンスの高さが魅力です。モデルのアップデートとともに性能が向上しており、直近のモデル「Claude2.1」では入力トークン数が大幅に増え、ChatGPTに比べて約100倍ものテキストを一度に処理できます。

また、ハルシネーションの頻度も従来に比べて約半分まで抑えられたため、回答内容の信頼性もアップしていることがわかっています。

Claudeの主な機能

Claudeでは、AIチャットシステムとして、テキストの自動生成から要約、質疑応答、言語翻訳、プログラムコーディングまで幅広いタスクに対応しています。一度に処理できるデータ量が膨大で、作業の効率化に貢献するでしょう。

また、自然会話において役割を持たせることができ、FAQなどの事前情報を提供しておけば適切で自然なやり取りが実現します。さらに、技術や科学、文化など専門知識を含む膨大な学習データで訓練されており、関連分野の広範な情報から適切な回答を瞬時に作成することが可能です。

ClaudeのAPIも利用可能

ClaudeではAPIを提供しています。Pythonなどのサンプルコードを含むAPIを使用すれば、自社開発のアプリケーションに組み込んで利用できます。

また、ClaudeはSlackにも対応しており、社内ワークフローの効率化にも有用です。FAQサポートや資料の要約などさまざまな機能により、生産性の向上にもつながるでしょう。

Claude2.1の場合、APIの使用料は変動課金制で、入力は100万トークンあたり8ドル、出力は100万トークンあたり24ドルです。

Anthropic「Claude3」のココが凄い!

Anthropicは2024年3月4日に、最新LLM(大規模言語モデル)「Claude 3」を発表しました。Claudeシリーズでは初めてテキストと画像、音声など複数の要素を組み合わせたマルチモーダルに対応したモデルです。

公式サイトによると、複数のベンチマークでGPT-4やGoogle社による「Gemini 1.0 Ultra」を上回っていることが報告されています。

画像:Anthropic

Claude3には3種類のモデルがあり、「claude.ai」の有料プランとClaudeのAPIで利用できます。それぞれの特徴と料金体系は以下の通りです。

モデル 特徴 料金
Opus 最も高性能 入力15ドル・出力75ドル
Sunnet 応答がスピーディ 入力3ドル・出力15ドル
Haiku 最速かつコストパフォーマンスが高い 入力0.25ドル・出力1.25ドル

※料金は入力、出力いずれも100万トークンあたり

最新モデルの「Claude3」を含む、Claudeシリーズの詳細については、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

Claudeとは?

Anthropicの将来性と今後の展望

AI業界でも稀に見る巨額の資金調達を実現させたAnthropicは、業界を牽引する一企業としてClaudeをはじめとするAI技術の研究や開発、提供に注力していくと想定されます。

なお、Anthropicは2023年7月に、OpenAI社、Google社、Microsoft社とともに「Frontier Model Forum」という業界団体を設立することを公表しています。共同声明では、業界リーダーの専門技術が集結して、フロンティアAIモデルの安全かつ責任ある開発を目指すと話しています。

生成AIの進化発展を経て、今もなお課題として残されている潜在リスクや社会への悪影響を解消し、安全で信頼できるAI技術の提供を確かなものとする必要があります。そのために各企業がどのようなアプローチを取るのか、今後の動向に期待が集まっています。

まとめ

Anthropic(アンソロピック)は、対話型のAIチャット「Claude」を開発したスタートアップ企業です。AmazonやGoogleなどの有名企業も出資するほど期待度が高まっています。

最新モデルの「Claude3」は、低コストでGPT-4と並ぶパフォーマンスを発揮している点が特に評価されています。生成AIの競争が繰り広げられる中、自社に最適なAIシステムを導入、活用するためには、用途や費用などをトータルで比較検討する必要があるでしょう。

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生成AIのサービス比較と企業一覧

よくある質問

AnthropicのClaudeは日本で使える?

AnthropicのClaude対応リージョンには、日本も含まれています。日本から希望するプランで契約して利用することが可能です。ただ、Claudeのトレーニングは英語が中心であるため、日本語にうまく対応できないシーンが出てくる可能性もあります。

もし日本語の質問にうまく回答が生成されない場合には、英語で入力することをおすすめします。

AnthropicのClaudeとGPT-4の違いは?

Claude3では、GPT-4に比べて膨大な量のテキストに対応できます。他にも、両者の性能を比較すると、数学やテキスト推論を含む多くのベンチマークでClaude3の方が上回っていることが公式サイト上で公開されています。

AIsmiley編集部

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