Claude(クロード)とは?Anthropicの最新AIモデルの使い方や活用例を紹介
最終更新日:2024/12/21
Claude(クロード)は、アメリカのAIスタートアップ企業「Anthropic」が開発した最先端の生成AIモデルです。「ChatGPT」やGoogle社の「Gemini(旧Bard)」と同じように、対話型のインターフェースで質疑応答ができます。2024年3月にはマルチモーダル搭載の最新モデル「Claude3」が発表され、世界中で話題を集めています。
本記事では、Claudeの概要から注目される背景、活用例などについて詳しく解説します。最新版「Claude3」の特徴や料金プランもお伝えしますので、生成AIサービスを自社で導入、運用するためにぜひお役立てください。
Claude(クロード)とは?
Claude(クロード)は、アメリカのスタートアップ企業「Anthropic(アンソロピック)」によって開発され、2023年3月に一般公開されたAIチャットモデルです。LLM(大規模言語モデル)である「claude.ai」を介して、自然言語の対話ができます。
OpenAI社の「ChatGPT」やGoogle社の「Gemini(旧Bard)」といった他のAIチャットと同様に、質疑応答や文章生成、長文の要約、翻訳、プログラミングコード生成といった作業に対応しています。
現在、Claudeは登録してすぐに使える無料版の他に、有償版「Claude Pro」が提供されています。日本のユーザーは月額20ドルで契約でき、最新モデル「Claude3」を利用可能です。
Claudeを開発したスタートアップ「Anthropic(アンソロピック)」とは
Claudeの開発企業である「Anthropic(アンソロピック)」は、OpenAI社に所属していた元社員が2021年に立ち上げた企業です。GPT-2、GPT-3といったモデルの開発メンバーが、同社のやり方に異を唱え、退社後に設立しました。
Anthropicは、AI業界でも稀に見る資金調達を達成していることでも話題を集めています。2023年5月に、GoogleやSalesforceなどから合計4億5千万ドル(約620億円)を調達し、その後アジアの通信会社2社から約1億ドル、Amazonから40億ドル、そしてGoogleからは追加で20億ドルを獲得しました。1年の間に73億ドルという巨額の投資資金を得ることに成功しています。
短期間にこれだけの巨額資金を調達している実績を見ても、多くの有名企業がAnthropicの将来性に投資価値を見出していることがわかります。
Claudeが注目を集める理由
ClaudeがAI業界を中心に注目を集めている理由としては、性能とコストのバランスや、API提供による使い勝手の良さが挙げられます。ここでは、Claudeの主な特徴について見ていきましょう。
GPT-4並のパフォーマンスを低コストで実現
Claudeの特徴として、リーズナブルな価格設定で高いパフォーマンスを発揮するAIモデルを利用できる点が挙げられます。Claudeの初代モデル「Claude Instant」や次の「Claude2」などでは、GPT-4に近い性能を、比較的安い価格で利用することが可能です。
また、ChatGPTなど他のモデルでは対応できない膨大な文章量でも、スムーズに処理ができるため、業務効率化を図る企業での活躍が期待されています。
APIで連携が可能
ClaudeのAPIを利用して、外部アプリケーションにClaudeの機能を組み込むことが可能です。Webブラウザの検索情報やデータベース内の情報に基づく回答の生成や、外部サービスを介した高度な推論が実現します。
また、Claude3を使ったプロジェクト開発や導入など、幅広い用途での応用に対応できる能力を備えています。なお、Claude APIを使用するには、法人組織向けのアカウントを登録し、APIキーを作成する必要があります。
日本語に対応している
Claudeは、日本語を含めた多言語に対応しています。2023年10月より提供されている「Claude2」モデルでは、日本語を含む95ヶ国語に対応可能です。
また、2024年3月に発表された最新の「Claude 3」モデルは、現在159ヶ国で一般提供されており、日本語プロンプトにも対応しています。
Claudeの使い方・活用例
生成AIモデルの中でも高い性能を示しているClaudeは、従来のモデルの使用範囲を越えた用途やシーンでの活躍が期待されます。ここでは、Claudeの主な活用例について紹介します。
自然な会話による質疑応答
Claudeでは、自然言語によるやり取りだけでなく、人間の感情やニュアンスに配慮した表現を実現しています。過去の生成AIに見られたような論理的な回答から、人間の言い回しにより近い表現が得られるように配慮されています。
また、Claudeを使って人間のような会話が成立するだけでなく、会話の中で特定の役割を担うことができます。事前情報として役割に関する詳細を提供することで、適切かつ自然な会話を返答します。
膨大な長文の要約
Claudeでは、入力トークン数が多いため、膨大な量の文章や長文データのスムーズな処理が可能です。Claude2モデル以降、最大10万トークンまで対応できるようになっており、長文の生成や編集、要約、翻訳も短時間で完了します。
Claude3の「Sonnet」モデルは、最大20万トークン、最上位の「Opus」モデルだと最大30万トークンまでの入力を受け付けています。また、PDFファイルの読み込みも可能で、研究論文のファイルや会議用資料をアップロードして要点を整理する、といった用途でも使えます。
Pythonコードの自動生成
Claudeでは、Pythonなどのプログラミングコードの自動生成も短時間で完了できます。Anthropicの公式サイトで公開されているベンチマークでは、コーディングにおけるGPT-4のスコアは67%であるのに対し、Claude3のOpusモデルは84.9%と高い数値を打ち出しています。
高精度なコーディングにClaudeを用いることで、生産性の向上につながります。
Slack連携によるワークフロー構築
Claudeは、Slack連携に対応しています。Slackの社内ワークフローにClaudeを導入して、社内FAQ用のチャットボットや会議の議事録作成、資料要約などさまざまな業務支援を実行することが可能です。
また、DMメッセージを使って、1人ひとりの課題に対して個別サポートを導入するといった使い方もできるでしょう。
Claude2(クロード2)の特徴
Claude2(クロード2)は、2023年7月に発表されたモデルです。当初はアメリカとイギリスでのみ利用登録が可能でしたが、2023年10月には日本からも利用できています。
Claude2では、前モデルのClaude1.3(クロード1.3)に比べて数学や推論、コーディングといった各領域で高性能を発揮でき、ファイル読み込みもスムーズかつ正確であることが確認されています。
Claude2の料金プラン
Claude2では、無料版と有料版の2つの料金プランが選べます。無料版は、Claude2の公式サイトまたは、以下サービスで利用可能です。
- Poe
- Slack
- Vercel AI Playground
有料版は、月額20ドルの「Claude Pro」の登録が必要です。もしくは、「Perplexity Pro」「Amazon Bedrock」などでも提供されています。
なお、Claude2ではプランによって制限がある点に注意しましょう。PoeでClaude2の無料版を利用する場合、1日あたり30回の上限が設定されています。有料版は無料版より容量が多く、自由度が増しますが、それでも作業量の制限はあります。
Claude2とChatGPTとの比較
Claude2とChatGPTとでは、容量やできる機能などに違いが見られます。2023年10月時点で、Claude2では最大10万トークンの読み込みに対応している一方で、ChatGPT(GPT3.5)は4,097トークン、GPT4でも32,768トークンまでです。
また、Claude2はデフォルトでPDFなど複数ファイルのアップロードが可能ですが、ChatGPTではプラグインなどを使う必要があります。
さらに、出力内容の有害性について、ChatGPTに比べて安全な回答を作成する能力が2倍優れているとされ、LLMモデルの課題であるハルシネーションへの対策が進んでいることがわかります。
Claude2.1(クロード2.1)の特徴
Claude2の次に登場したのが、2023年11発表の「Claude2.1(クロード2.1)」です。最大入力トークンが、前モデルの最大10万から倍の20万トークンまでアップしており、長文や複雑なストーリーの理解や読み取りをより正確に実行できます。
また、ハルシネーションの発生頻度が前モデルの半分程度まで抑えられ、同時に信頼性の低い回答を取り下げる頻度も2倍に増えています。
公式サイトで公開されているデータによると、7万トークンと19.5万トークンの文章をそれぞれ入力した場合、Claude2.1ではClaude2.0の倍の精度が出ることがわかっています。
参照:Anthropic
加えて、AI自身が知らないことや確信がないことに対して「わかりません」と答えられるようになっています。
Claude2.1の料金プラン
Claude2.1には無料版がなく、利用するためには有料版Claude Proへのアップグレードが必要です。月額20ドルで最大20万トークンの入力に対応しています。
Claude2.1を使うには、Claudeのアカウントを作成してClaude Proに登録し、Claude 2.1を選択することでスタートします。
Claude2.1とChatGPTとの比較
前モデルであるClaude2の時点で、ChatGPT(GPT-4)の性能を部分的に上回っていました。さらに改良されたClaude2.1は、多くの領域で進化しています。
2023年11月時点で、入力トークン数が前モデルの倍になっており、長文の小説やエッセイの要約・感想、法律や医学といった専門性の高い論文の説明など高度な言語処理に対応できます。また、APIによる連携機能を使うことで、外部データベースの参照だけでなく、インターネット上の情報を利用して高精度な回答を生成することが可能です。
最新モデルClaude3(クロード3)の魅力
Anthropicは3月4日、新しい大規模言語モデルの「Claude 3」を発表しました。性能順に「Opus」「Sonnet」「Haiku」の3つのモデルを展開しており、「Opus」と 「Sonnet」 はclaude.aiとClaude API で使用できます。
Claude3では、テキストに加えて画像や音声など複数の情報を同時処理できるマルチモーダル機能が追加されています。また、他の生成AIモデルと同等とされるレベルのビジョン機能(OCR)を搭載しており、写真やグラフ、図面など多様なビジュアルデータに対応可能です。
なお、Claude3の公式サイトでは、Anthropic社による63種類のプロンプトを無料公開しています。ビジネスメールや議事録の生成、エクセル操作といった業務で役立つプロンプトをすぐに活用できます。
Claude3の料金プラン
Claude3では、「Opus」「Sonnet」「Haiku」という3つのモデルが提供されています。各モデルの特徴や料金は以下の通りです。
モデル | 特徴 | 料金 |
Opus | 最高レベルの知能と対応力 | 入力15ドル・出力75ドル |
Sunnet | バランスが良く柔軟対応が得意 | 入力3ドル・出力15ドル |
Haiku | スピードと手軽さを重視 | 入力0.25ドル・出力1.25ドル |
※料金はいずれも100万入力トークンあたり
上記モデルは、Claudeの有料プラン(Claude)やClaude API経由で利用できる他、Amazonが提供する「Amazon Bedrock」やGoogle社の「Google Cloud Vertex AI」から利用できます。また、AI搭載検索エンジン「Perplexity Labs」にも対応しており、チャット画面上でHaikuモデルを選択可能です。
Claude3とGPT-4の比較
Anthropic社が公式に発表しているベンチマーク比較では、Claude3の最上位モデルOpusは、OpenAI社の「GPT-4」やGoogle社の「Gemini 1.0」と比べて、一般的なAI評価に使用される項目のすべてで上回る結果を出しています。
特に数学や大学院レベルの推論などにおいて、大幅な能力の向上を示しており、従来のテキスト生成AIモデルを超える性能を発揮しています。Claude3では、人間に近い理解力や安定した応答性能を用いて、信頼性の高い回答を生成することが期待できます。
また、Claude3では3つのモデルによって最大10万〜30万トークンの入力に対応可能です。トークン数の上限が拡大されたことにより、関連情報を自動で検索し、内容を適切に反映して回答することができます。
Claudeの課題と注意点
Claude2モデルは、初代モデルから安全性が強化され、有害性のある回答を生成するリスクが低減されています。ただ、Claudeではプロンプトや対話の情報漏えいや、作成コンテンツによる著作権や商標の侵害などの課題や注意点も残されています。
また、ハルシネーションと呼ばれ、事実とは異なる回答を出力する可能性もあります。ハルシネーションは高度な生成AIに見られやすい現象で、トレーニングデータの偏りや情報不足などによって起こるとされています。登場してまだ新しいAIモデルであるが故に、セキュリティ面の注意点を認識して利用する必要があるでしょう。
まとめ
Claudeは、AI業界で話題を集めるAnthropic社が開発した次世代生成AIモデルです。あらゆるベンチマークでGPT-4を上回る性能を示しており、最新モデル「Claude3」はマルチモーダル対応により、活用の幅が大きく広がっています。リーズナブルな価格で高度な能力を発揮するClaudeは、ビジネスシーンでの活躍が期待されています。
生成AIサービスを比較検討するために役立つ一覧表を下記にて無料配布しています。自社における生成AI活用に向けてぜひご活用ください。
よくある質問
Claudeは日本語に対応している?
Claudeは日本語プロンプトを利用可能です。Claudeが公式に発表している対応リージョンには日本も含まれており、無料版または有償版「Claude Pro」に登録することでスタートできます。
ただ、ClaudeのAIモデル自体は、英語を中心にトレーニングされているため、日本語にうまく対応できない可能性もあります。日本語の回答がうまく生成されないときは、英語に翻訳して入力してみると良いでしょう。
Amazon BedrockのClaude2.1は日本のAWSで利用できる?
Amazonが提供するフルマネージド型サービス「Amazon Bedrock」上にて、Claude2.1の一般提供がスタートしており、現在日本(東京リージョン)のAWSでもアクセスが可能です。
Amazon Bedrockでは、主要なAI技術やAmazonの高パフォーマンス基盤モデルをAPI経由で利用できます。セキュリティ性やプライバシーにも配慮された環境でClaudeを導入、カスタマイズすることが可能です。
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