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異音検知AIとは?注目される背景や検知メカニズム、開発事例をご紹介

最終更新日:2024/02/16

音を学習させたAIアルゴリズムを活用してモノや機器の異常検知を行う「異音検知AI」は、職人の経験や勘に頼らない定量的な検知精度を現場にもたらし、保守・点検の省力化や点検コスト削減を実現できます。

機械設備が故障する予兆を検知し、早期に修理・交換対応が可能になることから、故障による業務停止期間を短縮する効果も期待できるでしょう。本記事では、異音検知AIが注目される背景や検知メカニズム、実際の開発事例などについて解説します。

異常検知について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
異常検知とは?機械学習の手法や活用事例を紹介

異音検知とは?

異音検知とは、正しい状態で動いている機械や生物、モノの音と、異常が発生しているときの音をAIに学習させることで、異常の発見をスムーズにしたり、モニタリングを安定的に行ったり、いち早く予兆を検知したりする技術のことです。

人の手で監視を行うと、「どの範囲を異音とみなすか」の基準が曖昧になりやすく、判断にばらつきが出やすくなるというデメリットがあります。結果的に判断が遅れ、異常が発生してから対処することになり、重大なトラブルに発展しやすくなったり、対処のためのコストが増大したりするおそれがあります。また、スキルが浅い従業員は正確な判断ができず、判断ミスを起こす確率も高まるでしょう。

AIによる異音検知を取り入れることで、画面上に表示される「スペクトログラム」と呼ばれる波形を使った定量的な判断が可能になり、判断の遅れやスキルのばらつきによるミスを最小限に抑えられます。人間の基準では正常か異常かを判断しにくい微妙なラインの異音も、正確に検知可能です。

「異音検知AI」が注目される背景

異音検知AIが注目される背景には、従来の職人の経験や勘に頼った運用からの脱却を目指す動きが強まっていることや、AI端末を早期に実装できるようになってきたことなどが挙げられます。

熟練者の経験や勘など、明確に言語化できない「暗黙知」に依存した運用は、判断のばらつきを招くとともに、将来的な後継者への技術継承が困難になるなどのデメリットもあります。ここでは、異音検知AIが注目される背景について、詳しく解説します。

職人の経験や勘に頼っていたから

これまでの異音検知は、熟練した技術を持つ職人の経験や勘に頼った運用が一般的でした。しかし、熟練した技術を持つ職人の養成は簡単ではなく、新入社員を育て上げるためには長い時間とコストが必要になります。

また、現場で長く活躍してきた職人が退職や急病などで業務を続けられない事態になれば、異音検知の精度が低下し、製品の品質レベルを落としたり、業務の安全性が低下したりする事態を招くことにもつながります。

さらに、職人の経験は言語化することが難しい「暗黙知」であることから、次世代の職人たちに正確に技術を継承できないケースも少なくありません。異音検知AIは経験や勘に頼らず安定的な業務品質を維持できるだけでなく、言語化できない「暗黙知」を、可視化された「形式知」に転換し、技術継承を容易にできるというメリットがあります。

AI端末の早期実装が可能

近年では、AIを積極的に現場へ導入する動きが強まっており、各メーカーがこぞって製品開発を進めています。この流れの中で異音検知AIの技術力が高まり、導入実績が蓄積することによって早期実装も可能になりました。このことから、早い段階で現場に異音検知AIを導入し、機器による運用に切り替える企業は増えてきています。

実際に、AI学習に要する時間が、正しい音と異常音をすべて含めても半日程度で完了するシステムも存在します。導入したいと思ったタイミングですぐに準備を開始すれば、翌日から利用を開始できるスピード感は、魅力のひとつといえるでしょう。

システムに関する詳しい知識を持たない人でも直感的に運用しやすい製品が多く、導入ハードルが低い点も、多くの企業が導入を決めている理由です。

異音検知AIのメカニズム

異音検知AIは、ディープラーニングや機械学習によってAIに正しい稼働音と異常な稼働音を学習させた上で、現場に設置し、稼働している機器やモノ、生物などの音を判断させて、異常がないかどうかを検知する仕組みです。

一般的には、データ処理や特徴量の抽出を行った上で、音の可視化を行い、異音検知のAIアルゴリズムを構築する流れで導入準備が行われます。ここでは、異音検知AIのメカニズムについて詳しく解説します。

データ処理・特徴量の抽出

AIに正しい音と異常な音を判定させるためには、どの範囲の音が正常で、どこからが異常なのかをAIが学習する必要があります。そのため、まずは「特徴量」という考え方を採用し、音を数値データに置き換える作業を行います。

異音検知における特徴量とは、「分析する音データのうち、異音を予測する手がかりとなる範囲の音」を指します。

AIアルゴリズムを構築する前に、異音検知を行う対象物の「正しい音」と「異常な音」の範囲を抽出して、数値データに置き換えるのが、データ処理・特徴量の抽出作業です。このときに抽出するデータは、必ずしも聞き取りやすいデータだけではありません。異音検知の精度を高めるために、あえて人の話し声や他の機器の稼働音が含まれたものも活用します。

音の可視化・AIアルゴリズムの構築

特徴量の抽出が完了し、正常な音と異常な音の範囲を切り分けられたら、音の可視化とアルゴリズムの構築を行います。AIアルゴリズムの構築は、抽出した特徴量を「教師データ」として機械学習によってAIに与え、パターンを学習させることで実施します。

ただし、「ディープラーニング」を活用したAIアルゴリズムの構築を行う場合は、AIが特徴量を自分で学習するため、特徴量を与える作業は行いません。機械学習の場合は事前に「学習させるべきデータ」を人間が判断する必要がありますが、ディープラーニングの場合は、「どのデータを参考にして学習すれば良いのか」までAIが自ら判断するため、学習の手間を削減できます。

どちらを採用するかは、データの充実度や手間・コストなど、さまざまな要素を総合的に判断して決めると良いでしょう。

異音検知AIを導入するメリット


異音検知AIを導入することで、保守・点検の省力化や職人の技術継承、機械設備の故障予知が可能になります。

これまで人の手で行っていた保守・点検を異音検知AIに代替させることで、AIが自動的に異常を判断して知らせてくれるため、職人による定期的な点検が不要になります。これにより従業員の負担軽減につながるだけでなく、点検コストの削減にもつながります。

また、前述のように、従来は暗黙知として継承が難しかった職人の技術が可能になるため、技術継承が容易になるというメリットもあります。新しく現場に参画した従業員は、異音検知AIが蓄積した検知実績なども参考にしながら、効率的に技術を学ぶことが可能です。

加えて、機械設備が故障する前に異常音を検知してアラートを発するため、早めに修理・交換を行えるようになり、修理コストの削減だけでなく、原状復帰までの時間を短縮できます。

異音検知AIの導入方法

異音検知AIは、導入対象の音を現場で録音し、その音を元にAIアルゴリズムを構築します。導入方法はオンプレミス型、クラウド型、サーバーレス型の主な3種類があります。

オンプレミス型は、自社に異音検知AIを運用するためのサーバーを設置する方法です。カスタマイズ性が高く、自社の運用形式に適した柔軟な運用を実現できます。クラウド型は、業者が用意するクラウドサーバーを経由して異音検知AIを利用する方法です。インターネット環境があればどこからでも利用でき、メンテナンスの手間がかからない点がメリットです。

サーバーレス型はクラウド型の一種ですが、月額料金制や年額料金制を採用するクラウド型とは異なり、「実行した回数や時間に応じて課金される」従量課金制を採用しています。

デバイスは指向性や全方向性、音圧マイクなどさまざまな種類があるため、現場の環境に応じて適切なものを選択する必要があります。異音検知AIの製品によっては、複数箇所を同時監視できるものも設置可能です。

異音検知AIの一般的な導入フロー

一般的な異音検知AIの導入は、「見積もり→テスト→発注・初回学習→保守・サポート」の流れで行われます。まずは導入を検討している業者に想定している運用方法や予算などを伝えた上で、見積もりを依頼しましょう。中には、実際に現場を視察して最適な運用方法を提案してくれる業者もあります。

提示された見積もり金額が予算と見合えば、導入の精度を確かめるためのテストを行います。検知対象の音を集音して、業者側が音データからAIアルゴリズムを構築し、現場での運用に値するかどうかを検証します。

その後、テストに問題がなければ、業者に発注して初回学習を行います。本格運用のためのサーバー構築やAI学習を進め、現地で最終調整して納品作業を行うのが一般的です。

設置後は業者の保守・サポートを受けつつ、現場のルールに従って実際に運用を開始します。導入までの期間は、見積もりに2週間程度、テストに2週間程度、発注と初回学習に1~2か月程度で、合計2~3か月かかるケースが多いようです。

異音検知AIの開発事例

製品完成検査におけるAI異音検知 イメージ図

異音検知AIの開発事例として、Hmcomm株式会社が株式会社安川電機と共同開発した事例を紹介します。

Hmcomm株式会社では、熟練技術者の経験に頼った運用が常態化していることにより、技術者の高齢化や入職者の減少で、業界全体において人材不足が深刻化している点に着目しました。

この課題を解決するために、同社のAI異音検知技術および異音検知プラットフォームの「FAST-D」と、安川電機が持つ工場検査技術を融合させることで、熟練技術者の経験やスキルを形式知に転換し、スマートファクトリー化を推進しています。

FAST-Dはサブスクリプション型のプラットフォームで、さまざまな業界でよく利用される標準的な異音検知用の学習モデルを用意しています。さらに業界の特徴に合わせたAI学習モデルを構築したい場合は、実証実験を行うことも可能です。

この共同開発が実を結べば、完成検査工程の無人化や生産工程の省力化のほか、検査工程を費属人化して、安定的に高品質な技術提供が可能になります。

出典:Hmcomm、安川電機との「製品完成検査におけるAI異音検知」の共同開発を開始

異音検知 まとめ

異音検知AIを活用することによって、従来は職人の経験や勘といった「暗黙知」に頼っていた運用を、安定的な品質で実現できます。これによって、保守・点検の省力化や自動化、コスト削減を図るとともに、職人の技術継承を容易にすることが可能です。

また、異音を検知して機械設備が故障する前に知らせるため、早めに修理・交換などの対処を行えるようになり、安全な運用と原状復帰までの時間短縮が叶うようになる点も魅力です。

異音検知AIにはオンプレミス型やクラウド型、サーバーレス型など複数の導入方法があるため、自社に合った方法を選択し、最適な運用を実現しましょう。見積もり期間を含めると導入までには2~3か月かかることも多いため、早めに導入準備を開始することをおすすめします。

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