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最終更新日:2026/04/15
生体認証とは?詳細を解説
指紋認証や顔認証に代表される生体認証は、本人しか持たない身体的特徴や行動的特徴を使って本人確認を行う認証方式です。
スマートフォンのロック解除だけでなく、企業の入退室管理・勤怠管理・金融サービス・eKYCなどでも活用が広がっており、パスワードに代わる認証手段として注目を集めています。生体認証は一般に「バイオメトリクス認証」とも呼ばれ、顔・指紋・声・静脈などを事前登録し、認証時に照合して本人かどうかを判定します。
一方で、生体認証は「便利で安全だから万能」というわけではありません。導入コスト、認証精度、なりすまし対策、個人情報保護など、事前に理解しておくべきポイントもあります。この記事では、生体認証の基本から主な種類、メリット・デメリット、活用シーン、導入時の注意点までをわかりやすく解説します。
顔認識について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
顔認識AIの仕組みを解説!顔認証システムの作り方と活用事例

生体認証とは、顔や指紋、静脈、声など、個人ごとに異なる身体的特徴を使って本人確認を行う認証方式です。従来のID・パスワード認証やICカード認証と比べて、忘失や紛失のリスクが低く、なりすましもしにくいことから、セキュリティと利便性を両立しやすい方式として広く利用されています。
近年は、スマートフォンの普及によって生体認証が一般ユーザーにも身近な技術になりました。ドコモは、生体情報を使って端末のロック解除ができるだけでなく、パスキー認証を設定すれば、ログインや決済にも生体認証を活用できると案内しています。
生体認証が広がっている大きな理由は、パスワードだけでは守りきれない場面が増えているためです。スマートフォンは通信端末以外にも決済や業務システムの入口として使われることが増え、認証の重要性が一段と高まりました。
また、パスキーの普及も追い風です。FIDO Allianceによると、パスキーはパスワードの代替技術であり、端末内の秘密鍵を生体認証やPINなどで解除して使う仕組みです。パスワードと違ってフィッシング耐性があり、共有される秘密情報を持たない設計になっています。

生体認証にはさまざまな方式がありますが、現在よく比較される主な方式は、指紋認証、顔認証、静脈認証、虹彩認証、音声認証、行動的生体認証です。
NECやネクスウェイも、生体認証の代表例としてこれらの方式を挙げており、耳介認証やDNA認証なども存在するものの、実務での導入検討ではまず主要方式の特徴を押さえることが重要だといえます。NISTでも、より一般的なモダリティとして指紋・顔・虹彩が重視されています。
指紋認証とは、指先の指紋の模様や特徴点を使って本人確認を行う方式です。生体認証の中でも早くから実用化が進み、現在ではスマートフォンやPCなど身近な機器にも広く使われています。比較的導入コストを抑えやすく認証精度も高いため、もっとも普及している生体認証の一つです。
一方で、指先の乾燥や汚れ、ふやけなどによって認証精度が落ちることがあります。NISTも、登録した指を怪我した場合や、指紋が劣化している場合には認識しにくくなると指摘しています。導入しやすい方式ですが、業務用途ではバックアップ手段も用意しておくと安心です。
音声認証とは、人間の「声」を手がかりに生体認証を行う方法です。声紋認証と呼ばれることもあります。事前に判別したい人間の声を録音してデータベースに登録しておき、認証時に発された音声とデータベース上に記録されている音声を照合することで、本人かどうかを判断します。
音声認証用のソフトウェアと音声認識用のマイクを用意するだけで導入できるため、最低限の設備投資で導入できる点がメリットです。PCやタブレットだけでなく、スマートフォンにも対応しています。
また、認証者の「音声」を使って認証し、「言語」は問わないため、日本語が分からない従業員がいても問題なく活用できます。事前に決めた特定のフレーズを合言葉に認証する方法や、自由なワードを一定時間話すことで本人を特定する方法など、認証方式もさまざまです。
ただし、音声認証は注意点も大きい方式です。NECは、静脈認証などと比べると認証精度が劣ることや、録音によるなりすましの可能性がある点に留意すべきだとしています。
さらにNISTは、最新ガイドラインで: 音声(voice)に基づく生体比較を使ってはならないと示しており、高保証用途での単独利用には向きません。現在は音声認証を使う場合でも、多要素認証や別方式との併用を前提に考えるのが自然です。
音声認証とは、人間の「声」を手がかりに生体認証を行う方法です。声紋認証と呼ばれることもあります。事前に判別したい人間の声を録音してデータベースに登録しておき、認証時に発された音声とデータベース上に記録されている音声を照合することで、本人かどうかを判断します。
音声認証用のソフトウェアと音声認識用のマイクを用意するだけで導入できるため、最低限の設備投資で導入できる点がメリットです。PCやタブレットだけでなく、スマートフォンにも対応しています。
また、認証者の「音声」を使って認証し、「言語」は問わないため、日本語が分からない従業員がいても問題なく活用できます。事前に決めた特定のフレーズを合言葉に認証する方法や、自由なワードを一定時間話すことで本人を特定する方法など、認証方式もさまざまです。
静脈認証とは指や手のひら、手の甲などの静脈パターンを読み取り、本人確認を行う方式です。赤外線などで血液中のヘモグロビンの特性を読み取り、静脈の分布パターンを照合します。体内情報を利用するため偽造しにくく、比較的高い認証精度が期待できるのが特長です。
また、装置に触れずに使える製品も多く、衛生面を重視する現場でも導入しやすい方式です。その一方で専用センサーが必要になりやすく、指紋認証や顔認証と比べると導入コストは高めです。高い精度を求める金融機関や高セキュリティ施設で選ばれやすい方式といえます。
虹彩認証は、人間の瞳の「虹彩」と呼ばれる部分を手がかりに認証する生体認証です。虹彩は眼球に入る光量を調節するための器官で、人によって構造が異なります。この構造の違いを利用して、データベースに登録した虹彩の形と認証装置に映った虹彩の形を照合し、本人かどうかを判断します。
遺伝的な影響をほぼ受けない点が特徴的で、同一人物でも右目と左目の虹彩は異なります。もちろん、双子(一卵性双生児)でも同一にはならないため、確実性の高い判定が可能です。
静脈認証と同様に生きている限り変化せず、満2歳以降は生きている限り同じ虹彩の形を有するため、基本的に再登録なども必要ありません。
指紋認証や顔認証に比べるとまだ普及率は低い生体認証方法ですが、注目度は高く、今後普及率が高まっていく可能性が高いと考えられます。
耳介認証は、耳の穴の形を手がかりにして本人かどうかを判断する生体認証方法です。耳の穴の形は人によって大きく異なり、全く同じ形状の人はほとんどいません。この性質を利用して、データベースに登録した耳介の形と、認証装置で計測した耳介の形を照合します。
体格や顔と比較すると、加齢や体型変化によって本人を認証できなくなる可能性も比較的低いと考えられます。
現在実用化されている耳介認証製品は、イヤホン型の認証デバイスから検査音を発し、耳穴から反射した音の個人差で個体差を判別する方法が主流です。
音を聞くだけで認証が完了するため、指や手のひらをかざしたり眼鏡やマスクをはずしたりする必要はありません。また、身体の内部情報を利用するため、他人になりすますことがほとんど不可能であるという点もメリットのひとつです。
DNA認証は、人によって異なるDNA情報を活用した生体認証です。人間のDNAはありとあらゆる細胞に備わっており、髪の毛や爪などほんの少しの手がかりから本人を認証できます。
その人を構成する塩基配列が分かれば、認証精度が非常に高いというメリットがあります。ただし、塩基配列を確定する作業には時間がかかるため、DNA認証の利用を開始するまでに長い時間がかかる点はデメリットといえるでしょう。
また、DNA情報を抽出してからDNA-IDと呼ばれる個人IDを生成するためには、特定の試薬を必要としますが、この試薬は非常に高価であり現在のところコストパフォーマンスの面では他の生体認証方法に比べると低いです。
行動認証は、歩き方やスマートフォンの操作・キーボード入力・タッチスクリーンの使い方など、人それぞれの行動パターンをもとに本人確認を行う方式です。IBMはマウスの動きやタッチスクリーンの使用、入力速度などの固有パターンを分析してIDを検証する認証方式だと説明しています。従来の身体的特徴を使う生体認証とは異なり、後天的な習慣や癖を利用する点が特徴です。
行動的生体認証は、ログイン時の一回限りの判定だけでなく、利用中の継続的な本人性確認にも向いています。たとえば、正しいID・パスワードや端末でログインした後でも、操作パターンが普段と大きく異なれば不正利用の兆候として検知しやすくなります。そのため、単独で全てを置き換えるというより、既存の認証方式に追加する補強手段として注目されています。

近年ではさまざまなAIサービスが登場しており、同時にサイバー攻撃から身を守るための強固なセキュリティ対策が求められるようになりました。生体認証の仕組みは、近年広がりを見せている、さまざまなAIサービスに取り込まれています。
近年、小売店舗における酒類・たばこの販売に関して、セルフレジを活用した場合の年齢確認の基準がこれまで明確に定められておらず、対面での販売が原則となっていました。
そこで、株式会社Liquidは、新たな年齢確認サービスとして、小売事業者がセルフレジで酒類・たばこを販売する際の年齢確認をエンドユーザーのスマートフォンを活用して行うサービスの提供を開始しております。
(参照:セルフレジで酒類、たばこ販売の年齢確認サービス開始 身分証の持参が不要に!)
昨今の市場で発売されている多くのスマートフォンには、生体認証によるロック解除機能が搭載されており、指紋認証もしくは顔認証が一般的です。
指紋認証はスマートフォンなどの小型の端末でも実装しやすく、コストも比較的安価であることから、特によく採用されています。
顔認証が用いられているスマートフォンは指紋認証に比べると多くありませんが、2022年12月現在、Apple社のiPhoneシリーズで採用されている認証方法は「Face ID」と呼ばれる顔認証が主流です。以前は「Touch ID」と呼ばれる指紋認証が採用されていましたが、今のところ、Face IDが継続される見込みのようです。
銀行ATMの一部では、指静脈認証が採用されています。みずほ銀行や三井住友銀行、りそな銀行などの国内の大手銀行でも、指静脈認証に対応したATMが設置されています。
ATMにおける生体認証は、指静脈認証だけでなく、従来の暗証番号と指静脈認証を組み合わせて利用するパターンが一般的です。暗証番号+指静脈認証の2段階の認証手順を踏むことで、より安全性の高い認証が可能になります。
銀行ATMで生体認証を利用するためには、「生体認証機能付きICカード」を発行してもらう必要があります。生体認証機能付きICカードを発行した上で、銀行のデータベースに生体認証情報を事前登録することで、ATMにおける本人確認が可能です。
eKYCとは、「electronic Know Your Customer」の略称で、オンライン上で本人確認手続きを完了させるための一連のシステムのことです。
例えば銀行口座の開設やクレジットカードの発行など、従来であれば対面式で本人確認を行わなければならなかった手続きをオンラインで完結できるようにすることで、利用者の利便性向上が期待できます。
eKYCの本人確認方法は大別すると2種類あり、1つは「セルフィーアップロード型」です。セルフィーアップロード型における本人確認では、自分のセルフィー(自撮り写真)と本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等)をスマートフォンで撮影し、指定されたURL上にアップロードします。
もう1つの方法は、「フェデレーション型本人確認サービス」と呼ばれる方法です。銀行や携帯キャリア会社などで本人確認に使用した履歴を、ユーザーの同意のもとに指定の事業者へと提供してもらうことで本人確認を完了できます。
企業では、入退室管理や勤怠打刻でも生体認証の導入が進んでいます。顔認証ならICカードの貸し借りや紛失リスクを減らしやすく、静脈認証なら高セキュリティ環境でも使いやすいのが特長です。認証を短時間で済ませやすいため、朝夕の混雑を緩和したい現場にも向いています。
生体認証を導入する際は、まずどの認証方式が業務に合うかを整理することが重要です。顔認証は非接触で導入しやすく、指紋認証は比較的低コスト、静脈や虹彩は高精度だが専用機器が必要になりやすいなど、方式ごとに向き不向きがあります。用途、利用人数、設置環境、必要な認証精度を踏まえて選ぶべきです。
次に重要なのが、バックアップ手段と多要素化です。ネクスウェイは、生体情報が絶対に変化しないわけではないため、複数の生体データを登録しておくことや、生体認証以外の認証方法を併用することを推奨しています。高リスクな用途では、生体認証単独ではなく、端末所持やPINなどを組み合わせる設計が現実的です。
さらに、個人情報保護とテンプレート保護の設計も欠かせません。個人情報保護委員会は、テンプレート保護技術を施した生体情報についても、漏えい時に使えないよう直ちに無効化できる仕組みが重要だとしています。生体情報は「一度漏れたら終わり」ではなく、保存方式や無効化設計まで含めて考える必要があります。

生体認証のメリットとしては、高い利便性・セキュリティ強化に役立つこと・受付や入退室・勤怠管理の効率化につながることが挙げられます。
従来のID・パスワード認証では、入力の手間や失念、再発行対応が課題になりがちですが、生体認証は本人の顔や指紋などを使うため、よりスムーズな認証体験を実現しやすい方式です。
さらに近年は、スマートフォンの生体認証を使ったパスキー認証も広がっており、ログインや決済をより簡単かつ安全に行えるようになっています。
生体認証の大きなメリットの一つは、高い利便性です。IDやパスワードを覚える必要がなく、認証時は顔をカメラに向けたり、指をセンサーに触れたりするだけで本人確認を行えます。
パスワード忘れによる再設定や問い合わせ対応も減らしやすく、利用者・管理者の双方にとって負担を軽減しやすいのが特長です。ドコモも、生体認証を使うことで、端末ロック解除だけでなく、パスキーを通じたログインや決済がより簡単になると案内しています。
生体認証は、パスワードやICカードと比べて、紛失・盗難・使い回しのリスクを抑えやすい点がメリットです。NECも、顔認証ではICカードの紛失や不正利用の低減につながると説明しています。一方で、現在は「生体認証だから絶対安全」とは言えません。
NISTは、生体認証には誤受入や提示攻撃のリスクがあることを前提に、顔認識ではライブネス検知を必須としています。そのため、生体認証の安全性を訴求する際は、なりすましに強い認証手段である一方、より高い安全性を求める場合はPADや多要素認証と組み合わせることが重要と書くのが適切です。
生体認証は、認証にかかる時間を短縮しやすいため、職場や工場、店舗などでの混雑緩和や省人化にもつながります。たとえば入退室管理や勤怠打刻を顔認証で行えば、ICカードの取り出しや暗証番号入力の手間を減らしやすく、認証待ちの行列を抑えやすくなります。
NECの事例でも、顔認証により非接触での扉開錠や、検温・受付業務の省人化が進められると紹介されています。認証のスムーズ化は、従業員のストレス軽減だけでなく、現場全体の業務効率向上にもつながります。

生体認証は、利便性やセキュリティ向上に役立つ一方で、身体変化や環境変化の影響を受ける・高度なセキュリティ対策が必要・紛失時に差し替えが難しいなどの課題があります。
パスワードのように簡単に変更できない情報を扱うため、導入時にはメリットだけでなく、運用負荷やリスクもあわせて考える必要があります。
IDやパスワードによる認証方法とは異なり、生体認証は一人ひとりが持つ身体的特徴を手がかりに本人かどうかを判断します。そのため、IDやパスワードのように「再発行」という概念がなく、身体変化があると対応できないというデメリットがあります。
例えば何らかの理由で指紋が薄くなってしまい、登録時のデータベース上の指紋と一致しなくなると、本人であるにも関わらず、本人とみなされない可能性があります。また、極端な体型の変化によって登録時とは大きく顔が変わり、顔認証を通過できなくなってしまうなどのリスクもあります。
生体認証は便利である一方、認証エラーが起きたときの再登録や代替手段の設計が欠かせません。特に業務システムや入退室管理では、「認証できなかったら利用者が動けなくなる」状態を避けるため、運用面の備えが重要です。
生体認証では、顔、指紋、DNAなどを照合して個人を識別できる水準の情報は、個人情報保護委員会のFAQでも本人を認証できる符号として整理されています。つまり、生体認証システムを導入する事業者は、単なるログイン情報ではなく、取り扱いに慎重さが求められる情報を管理することになります。
そのため、導入時には暗号化、アクセス制御、保管場所の分離、監査ログなど、通常以上に厳格なセキュリティ設計が必要です。現在は、顔認証なら認証精度だけでなくライブネス検知(PAD)、保存するならテンプレート保護まで含めて考えるのが一般的です。
NISTは顔認識でPADを必須とし、個人情報保護委員会も、テンプレート保護技術に用いるパラメータを直ちに変更できる仕組みの重要性を示しています。
生体認証は、従来型のIDやパスワードなどの認証方法に比べると、データが外部に漏洩したときの迅速な対応が難しいというデメリットがあります。
IDやパスワードが漏洩したときは、直ちに該当のIDとパスワードの利用を停止し、新たなIDの再発行やパスワードの変更を行うのが一般的です。しかし、生体認証では一部の生体認証は、情報の変更が困難です。
指紋であれば他の指の指紋を再登録するなどの方法もありますが、静脈や虹彩など、基本的に生涯変わらない身体情報が流出すると、漏洩後の対処は非常に難しくなります。万が一漏洩した後の対応を考えるのではなく、「漏洩させないための対策」を徹底することが重要です。
生体認証の大きな弱点は、認証情報を変更しづらいことです。パスワードであれば変更できますが、指紋や顔の特徴は根本的には変えられません。生体情報が漏えいすると、漏えい後の対応はパスワードが漏えいすることよりも難しくなりやすいです。
この課題に対しては、最初から「漏えいさせない」設計に加え、漏えい時にそのテンプレートを無効化できる構造が重要になります。
個人情報保護委員会は、テンプレート保護技術を施した個人識別符号でも、漏えいを直ちに認識し、秘匿化パラメータを直ちに変更して使えなくできる場合には、保護措置として評価できると示しています。

身体的生体認証は、パスワードやICカードに比べて利便性が高い一方で、突破リスクがゼロではない点を理解しておく必要があります。現在のガイドラインでは、顔認識では写真や動画などによる提示攻撃を防ぐためのPADが必須とされ、虹彩や指紋についてもPADの実装が推奨されています。
「生体認証だから安全」ではなく、なりすまし対策まで含めて安全性を評価するのが前提です。
また、認証を本人に強要するような物理的・心理的リスクまでは、生体認証だけで完全に防げるわけではありません。高リスク用途では、生体認証単独に頼るのではなく、利用状況に応じて多要素認証や補助的な検知手段を組み合わせる考え方が重要です。
行動的生体認証は、顔や指紋のような身体的特徴ではなく、マウス操作、タッチスクリーンの使い方、入力速度など、ユーザーの行動パターンを分析して本人確認を行う方式です。IBMは、これを従来の認証手段に追加できる認証の一種として説明しており、不正アクセス検知の補強にも役立つとしています。
行動的生体認証の強みは、ログイン時の一回限りの判定だけでなく、利用中の継続的な本人性確認にも使いやすいことです。正しいIDや端末でログインしていても、操作パターンが普段と大きく違えば、不正利用の兆候として検知しやすくなります。身体的生体認証の代替というより、追加の防御層として活用しやすい分野です。

行動的生体認証は他者が真似しにくい性質から、セキュリティ対策と従業員のプライバシーの保護を両立できる効果的な手段です。しかし、行動的生体認証も万能というわけではなく、いくつかのデメリットがあります。
例えば、人の行動パターンは日頃の環境から大きく影響を受けるということです。外部から受ける影響が特に強い組織などでは、行動的生体認証から個人を特定するのが難しくなるケースも起こり得ます。
また、行動的生体認証は個人が特定されるおそれはないものの、定量化されたさまざまな行動データが含まれているため、気がつかないうちに外部に流出して、他社のサービス開発に流用されている可能性もあります。
また、行動的生体認証はまだ登場したばかりの考え方であり、一般層への認知度は決して高くありません。今後は行動的生体認証の認知度をどのように高めていくかを考えたり、収集したデータを扱うための法整備を進めたりしていく必要があります。

生体認証を導入する際は、バックアップ手段の用意、なりすまし対策の実装、漏えい時の無効化設計の3点を押さえることが重要です。便利さだけで方式を選ぶのではなく、利用シーン、必要な保証レベル、保存データの扱いまで含めて設計する必要があります。
生体認証は安全性・利便性ともに高い点が魅力の認証方法ですが、大幅な体形の変化や指紋の消失など、何らかの理由で本人を特定できなくなる可能性もあります。また、システムの不具合によるエラーの発生も起こらないとは限りません。
そこで、生体認証を採用する際は、バックアップとして他の認証方法も整備しておくことが大切です。例えば顔認証を採用しているなら、万が一の場合は指紋認証も利用できるようにするなど、複数の認証方法を用意しておくことで、メインの認証方法が利用できなくなった時でも安心です。
バックアップ体制を構築しておかなければ、再設定のために煩雑な手続きが必要になったり、直ちに業務に復帰できなくなり、現場に大きな悪影響を及ぼしたりする可能性があります。
生体認証を利用する際は、行動的生体認証のような、再現性が低い生体データを採用するのがおすすめです。生体認証にはさまざまな種類がありますが、例えば指紋認証や顔認証などは、他の認証方法と比べると比較的偽造しやすい認証方法です。
実際にシリコンの型で認証用の疑似的な指紋を作成し、指紋認証に対応しているデバイスに触れさせたところ、認証を突破できてしまったという実験もいくつかあります。もちろん簡単に再現できるわけではありませんが、不可能ではない以上、突破のリスクは考慮しておかなければならないといえるでしょう。
行動的生体認証であれば、どのような認証パターンを用いて認証しているのかが分かったとしても、実際に再現することは難しいため、比較的安全性を維持しやすいと考えられます。
高リスクな用途では、生体認証だけに依存せず、別の要素と組み合わせるほうが安全です。現在は、FIDOのパスキーのように、端末上の生体認証やPINで秘密鍵を使う仕組みが広がっており、生体認証は単独の魔法の解ではなく、認証全体の一部として使う考え方が主流です。
FIDO Allianceは、パスキーはフィッシング耐性のあるパスワードレス認証であり、ユーザーは端末を解除するのと同じ生体認証やPINでサインインを承認すると説明しています。
パスワードを併用する場合は、内部の従業員による情報漏洩に注意しなければなりません。不注意によるパスワードの紛失などがあると、第三者に悪用されてシステムへの不正ログインを許してしまったり、企業としての信頼を大きく損なったりするおそれがあります。
社内でセキュリティ研修を開催するなど、従業員一人ひとりがセキュリティに対する意識を高く持つための工夫を重ねて、安全性の高い運用を実現しましょう。
指紋認証や顔認証をはじめとして、生体認証のソリューションは多様化しており、人間の身体のさまざまな部分をカギとして安全性の高い認証が可能になりました。
しかし、安全性が高いとはいえ、悪意のある第三者によって認証を突破されてしまうリスクが完全に消えたわけではありません。生体認証を運用する際は、比較的模倣が難しい行動的生体認証を採用したり、生体認証以外の認証方法を組み合わせたりする対策も忘れずに行いましょう。
下記のURLでは、生体認証サービスを提供している事業者をご覧いただけます。これから生体認証サービスの導入をご検討の方は、ぜひご参照ください。
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