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AI創薬とは?医薬品開発におけるAI活用の効果と課題

最終更新日:2022/05/06

医薬品開発におけるAI活用

医薬品の研究開発のプロセスにAIを活用する「AI創薬」の導入が製薬業界で進んでいます。AI創薬を導入することで「開発期間の短縮」や「コスト削減」などが見込めることから、AI導入や他社サービスの利用などを検討している企業も多いことでしょう。

この記事ではAI創薬の概要や昨今の医薬品開発が抱える課題、AIを応用できる工程、導入事例などを解説しています。AI創薬についての情報収集や自社施策の検討にお役立てください。

■AI創薬とは

AI創薬とは、医薬品の研究開発のプロセスにAI(人工知能)を活用した創薬のことです。AIの特徴である大量のデータを処理して高度なデータ分析、推論を実現できる能力を活用することで、開発期間の短縮やコスト削減、研究者の業務負担軽減などを達成しやすいメリットがあります。

元々創薬の分野では、分子構造の相関性をパターンマッチングさせたり、ケースリポートを自動登録したりするなどの工程にAIが用いられていました。しかし近年では、標的探索(ターゲット選定)やリード化合物の探索・最適化のフェーズにも、AIを応用できるようになっています。

様々なメディアで「AI創薬はまだ発展の入り口にある」としばしば言及されますが、既に実用化し、成果を挙げる企業が出てきています。

●そもそも創薬とは

創薬とは「安全で効果が見込める薬を創ること」です。創薬研究の全体像は、しばしば鍵を作るプロセスに例えられます。薬を作るためには、まず病気の原因となっているドアを開けるための鍵穴がどのような形なのかを知らなければなりません。これが標的探索(ターゲット選定)というプロセスです。

次に鍵穴に合った鍵を作成するために、化合物の設計、最適化を行います。さらにドアを解錠できるか、問題は生じないかという検証作業にあたるプロセスを、動物実験や治験を繰り返してチェックします。その後、承認申請と審査を経て承認されると、ようやく医薬品として販売できるようになります。

●医薬品開発のプロセスと費用について

より具体的に医薬品開発のプロセスを示しているのが以下の図です。


(参照:厚生労働省「臨床研究に関する現状と最近の動向について」

このように医薬品開発に要する期間は一般的に長期にわたり、平均すると10年以上を要します。また費用も数百億円から数千億円かかる一大プロジェクトです。しかし創薬が成功する可能性はわずか0.0040%という低さであり、膨大な試行錯誤が必要な上、手間と時間、コストの増大につながっている現状があります。

■昨今の医薬品開発が抱える課題

先に解説したように、そもそも医薬品開発は基本的に困難なものです。製薬会社が所有する化合物のライブラリーは数万種あるとされ、これらの中から活性化合物をスクリーニングするだけでも、膨大な手間と時間がかかります。

また10万種以上の生体内タンパク質から創薬標的タンパク質を選び出し、活性化合物との組み合わせを試すのも膨大な作業です。動物実験で成功するフェーズまで進んだとしても、ヒトによる臨床実験によって重大な副作用が見つかることも少なくありません。

医学が進んだことから研究対象が原因不明の複雑な疾患に移っている背景もあり、創薬のハードルは年々高まってきました。医薬品開発が抱えている課題は様々ですが、特に昨今問題になっているのは次の2点です。

  • 新薬開発の期間・費用が年々増大している
  • 確度の高いターゲット遺伝子の発見が困難

それぞれについて詳しく解説します。

●新薬開発の期間・費用が年々増大している

製薬業界のイノベーションギャップは、年々増加している傾向にあります。2000〜2004年時点での新薬開発の成功率は約1/1.3万であったのに対し、2015〜2019年では約1/2.3万に下がり、研究開発費の高騰の要因となっています。


(参照:医薬品開発におけるAIの活用について|厚生労働省

新薬開発の期間が延び費用が増大している根本的な背景には、医学の進歩によって、創薬標的がより複雑で原因不明の疾患にシフトしていることです。さらに薬事規制の強化や薬価引き上げの圧力、ジェネリック医薬品との競合なども加わり、イノベーションギャップの拡大が引き起こされています。

こうしたことから、従来の方法をより効率的な創薬システムに変革することは、製薬業界、特に新薬メーカーの大きな課題であり、AI創薬もその一環として注目されていると理解できます。

●確度の高いターゲット遺伝子の発見が困難

新薬開発を成功させるようなターゲット遺伝子を発見するのは容易ではありません。小規模臨床試験のPhase-2におけるPoC(創薬開始時に想定した優位性の証明)の段階での失敗率は特に高いですが、これも「初期段階のターゲット選定のミス」が大きな要因になっていることが知られています。

この困難さの主な要因は、動物実験を主体にした確度が低いターゲット遺伝子の選定と、治療対象の患者の階層化が不十分な状態で創薬をスタートしていることです。これらの問題を解決すべく、後ほど解説するAIを活用したスクリーニングやシミュレーションが期待されています。

■医薬品開発プロセスにおけるAIの応用範囲

近年のAI創薬における重要な応用範囲は、標的探索(ターゲット遺伝子探索)とリード化合物探索にかかる時間の短縮です。この2つの分野におけるAI活用によって、開発期間の短縮とコスト削減が期待されています。

標的探索(ターゲット遺伝子探索)において活用が進んでいるのは、ヒトデータに基づく新たな創薬ターゲットを推進する試みです。オミックスデータや臨床情報などのヒトデータを活用することで、動物実験に依存することによる失敗を減らせると期待されています。また、創薬ターゲットを共有する他の疾患予測の探索結果を応用できるのもメリットです。

そしてリード化合物探索には、膨大な活性化合物のスクリーニングをAIに行わせようとする試みが広がってきました。特にバイオ医薬品のように低分子医薬品に比べて分子サイズが大きく複雑なリード化合物探索で、開発効率の向上が見込まれています。リード化合物探索については、次項から企業事例も交えて詳しく解説します。

■「リード化合物探索」におけるAI活用事例

リード化合物探索の分野においては、AI創薬を実用化して成果を出している企業があります。既に製薬会社がリード化合物探索に強みを持つ創薬システムを持つ企業と提携する動きも加速しています。ここでは株式会社MOLCURE(モルキュア)と、SyntheticGestaltの2社の活用事例を紹介します。

●株式会社MOLCURE(モルキュア)

株式会社MOLCURE(モルキュア)は、膨大な期間・費用を費やす創薬システムを変革し、医薬品を断続的に世に出すという目標を掲げている新薬開発メーカーです。AIを用いて早期に有効な新薬を創ることで、治療法がない3万以上の疾患に対して、治療の道を開くことを目指しています。

株式会社MOLCUREが採用したAI創薬は、進化分子工学というバイオ実験手法を用いてAI解析可能な化合物データに加工した後、バイオ医薬品の候補をスクリーニングするというものです。

このAIの学習には、ロボット技術に強みを持つ同社ならではの学習サイクルが組み込まれています。バイオテクノロジー実験自動化ロボット「HAIVE」によって、既に実験の6割以上の自動化を達成しており、研究者の負担を軽減しつつ、開発期間を短縮しています。この結果、新薬候補となる分子を設計するのに要する期間を従来方法の10分の1まで短縮しました。

●SyntheticGestalt

SyntheticGestaltはAI創薬を軸としながら、ライフサイエンス系企業との協業も積極的に行うスタートアップ企業です。コロナ禍においては新型コロナウイルス感染症の新薬開発で製薬会社と提携したことでも脚光を浴びました。

同社が採用したAI創薬は、標的タンパク質の1次情報を元に、確度の高いターゲット遺伝子を探索する方法です。従来の機械学習と異なり標的タンパク質の構造情報を必要としないことが特徴で、新たなアプローチによる創薬が期待されています。

開発期間の大幅な短縮も可能になり、約40億個の化合物ライブラリーから2〜3週間程度で20〜50個の創薬候補のリード化合物に選別できます。このスピーディーなAI創薬によって、患者数が少ない症例など、創薬の対象になりにくかった標的も扱えるようになりました。

また費用面でもメリットが大きいため、同社では前臨床候補化合物の作成にかかっていた費用を50〜100分の1に削減することを目指しています。こうした取り組みからSyntheticGestaltは、中小機構が主催する「第21回Japan Venture Awards」(2022年)の中小企業庁長官賞を受けています。

■AI創薬の課題

AI創薬は成果が出始めたものの、まだまだ発展途上の分野といえます。とりわけ研究者のニーズが高いのはAI解析用のデータ収集・活用基盤の整備です。例えば医療機関のカルテや集計データは、そのままAIの機械学習に利用できるものではありません。また官民学が情報共有するためのフォーマットの標準化も十分とは言えない状況です。

ただし、既にゲノムとAIを組み合わせたAI創薬のためのプラットホームとして、官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)が構築されるなど対策は進んでいます。PRISMの活用では、データ駆動的な創薬ターゲット探索のアプローチを推進できることが期待できるでしょう。

今後の日本におけるAI創薬の課題は、匿名での情報蓄積などによってプライバシー保護の課題もクリアしながら、企業・業界の垣根を超えたAI創薬のプラットホームをより整備していくことと言えるでしょう。現状でも大手製薬メーカーとAIベンチャーの協業が進んでいるため、プラットホームが整備されれば、AI創薬が一層活発になると予想されます。

■AI創薬 まとめ

医薬品の研究開発のプロセスにAI(人工知能)を活用するAI創薬は、開発期間の短縮とコスト削減、研究員の負担軽減などのメリットがあり、各製薬メーカーが導入・運用を進めています。

画像解析などのAI技術でAI創薬を加速させているエルピクセルの「IMACEL(イマセル)」のように、サンプル解析や評価解析レポート、AI導入支援サービスなどを提供している企業もあります。自社にはない技術を利用することによって、AI創薬を取り入れるハードルは下がることでしょう。

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