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AIと知的財産権。特許調査や著作権管理での活用事例を紹介

最終更新日:2024/04/08

AI(人工知能)の技術は日進月歩で進化を続けており、さまざまな分野でのAI導入が積極的に進められています。AIが導入されることによって、これまで以上にサービス品質や生産性の向上を図りやすくなってきている一方で、注意しなければならない問題が発生しているのをご存知でしょうか。

AIの開発や活用においては、データや成果物の知的財産権に関する問題に注意しなければなりません。そこで今回は、AIと知的財産権の関係性について解説するとともに、特許調査や著作権管理での活用事例をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

AIについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI・人工知能とは?定義・歴史・種類・仕組みから事例まで徹底解説

AIと知的財産権(知財)

一般的なソフトウェア開発を行う場合、既存データや成果物を用いるケースは多くありません。しかし、AIの開発を行う場合はさまざまな材料を用意する必要があり、複数の成果物を用いるケースもあります。そのため、開発において権利・知財に関する交渉が難航してしまうことがあるのです。

もちろん、ユーザーやベンダーが、その材料や成果物といった価値のあるものを独占したいと考えることも多いため、AIの開発を進める上での弊害となってしまう傾向にあります。だからこそAIを開発する際には、知的財産権の問題について理解しつつ、企画段階からPoC(Proof of Concept:概念実証)段階、AI開発契約段階に至るまで、常に知的財産権について意識しておかなければなりません。

AIの開発から実用化までをスムーズに進めていくためには、特許・実用新案・意匠権といった知的財産に関する権利について正しく理解しておくことが大切になります。

AIと特許・実用新案・意匠権

特許権とは、権利者が「特許を受けた発明」を一定の期間独占的に実施できる権利のことです。

実用新案権とは、物品の形状や構造、組み合わせなどに関する考案を保護する権利のことを指します。そして意匠権は、デザインの保護を目的とした権利であり、知的財産権のひとつです。

AIの精度を高めるためには、より多くのデータを学習させる必要があります。ただし、収集するデータの中にも特許権や実用新案権、意匠権などで保護されているものが存在する可能性はあるため、これらの権利についてあらかじめ理解しておくことが大切です。

先行技術調査の業務効率化

AIの開発において、知的財産権についての理解が大切になることがお分かりいただけたかと思いますが、最近では特許や実用新案、意匠権といった先行技術を調査するためのサービスも多く普及し始めています。そのため、より効率的に先行技術の調査を行えるようになってきているのです。

自社や他社の知財情報とマーケットの情報を統合的に分析し経営戦略に役立てる「IPランドスケープ」も人間が行っていた業務をAIで簡略化できます。

たとえば、株式会社AI Samuraiが提供している「AI Samurai(AIサムライ)」というサービスでは、日本の特許だけでなくアメリカや中国の特許についても短時間で調査することができます。わずか数十秒で調査結果が表示されるため、手作業での調査と比べて大幅な時間短縮を実現することが可能です。

また、パテントマップで、企業や技術の特許情報を数値化して見える化してもらえるため、より直感的に傾向を把握することもできます。このほかにも「Amplified」や「Patentfield」といったさまざまな機能やサービスが存在しているため、自社の目的や方向性に応じて先行技術調査サービスを活用するのも効果的です。

AIの開発・活用を行う上では、知財情報解析を活用しながら経営に役立てていくが極めて重要な考え方といえるのです。

特許書類の作成もAIで自動化

「AI Samurai」では、「AI特許作成」という特徴的な機能も搭載しています。この機能は、ユーザーが文書を入力すると、特許書類の内の「要約」「特許請求の範囲」「明細書」の3つを約3分で出力することができるというものです。特許文書作成の支援につながる機能として大きな注目を集め、今後さらに「特許」という分野におけるAI活用の幅が広がっていくことが期待されます。

AIと商標権

多くのユーザーが当たり前のようにインターネットを使いこなしている現代において、商品(サービス)の目印ともいえる商標を独占できる「商標権」も極めて重要な役割を担っています。販売する商品(サービス)を購入してもらうためには、数多く存在する商品(サービス)の中から自社の商品(サービス)を選んでもらう必要があるからです。

他社の商品(サービス)との差別化を図るためには、区別するための目印が欠かせません。だからこそ、その目印である「商標」を独占するための権利が重要になるということです。

「AI vs 弁理士」類比判断や識別力を対決

AIは商標権の調査という点においても高い精度でのパフォーマンスを発揮しています。2019年には、AIが商標調査対決イベントで弁護士と対決し、3戦中1勝をあげたことで大きな注目を集めました。

第1ステージでは「画像商標対決」、第2ステージでは「類否判断対決」、第3ステージでは「識別力対決」が行われ、AIは第3戦の識別力対決において1点差で弁護士に勝利しました。この識別力対決は、実際に出願された商標とその商品・サービスを提示し、特徴があるかどうかを判断するというもの。開発段階で既に6〜7割の正答率を出していたことから、期待通りの結果となったそうです。

(参照:AIが商標調査対決イベントで弁理士に3戦中1勝|株式会社Toreruのプレスリリース)

商標出願依頼を高速かつ低価格で実現

cotobox株式会社が運営するオンラインAI商標登録プラットフォーム「Cotobox(コトボックス)」は、最短3分・相場価格のおよそ1/4ほどの低価格にて、商標出願依頼を実現する、AI活用の商標出願支援オンラインプラットフォームです。

AIを活用して類似する商標を簡単に検索できるほか、そのまま提携先の弁理士に出願依頼が可能です。商標検索機能は、弁理士などの専門家を介していないため、気になる商標の登録可否検索を何回やっても0円、オンラインならではのスピードとコストにて、現在、2万社以上の企業や個人・官公庁・大学が利用。

Cotoboxの商標出願取扱件数は、9月末時点で総計1万件を突破。特にコロナ禍以降の出願取扱数の伸びが著しく、2019年3月〜8月と比較すると、2020年同時期は約3倍、2021年では約5.6倍と、継続的に出願取扱件数が増加しています。

[関連] 「Cotobox」出願取扱件数1万件突破

特許庁、類似商標画像の検出のAIコンペを開催

特許庁では、データ分析コンペティションプラットフォーム“Nishika”にて、類似する商標画像を高精度で検知出来る機械学習モデルをコンペ形式で開発しました。

このコンペは、データ分析コンペティションを中心としたプラットフォーム”Nishika”を運営するNishika株式会社が特許庁と共に開催した「商標×AI:イメージサーチコンペティション(類似商標画像の検出)」というものです。

特許庁では、より効果的かつ品質の高い審査を実現すべく、商標審査の一部にAI技術を導入する取組を進めています。その一環として、先行図形商標の検索のために、AI技術を用いた画像検索システム(イメージサーチツール)を開発し、実際の審査で試験的に導入しています。

このイメージサーチツールは、精度について一定の評価を得ているものの、例えば、商標の部分的な一致に係る画像検索については引き続き改良の余地があり、日進月歩で進捗する機械学習技術の発展に合わせ、より有効な技術を取り入れていくことが重要です。

そこで、特に改善の余地があると思われる商標の部分的な一致や色彩の濃淡等に係る画像検索の精度向上を目的として、類似商標画像の検出に関するコンペが開催されました。

[関連] 特許庁、類似商標画像の検出のAIコンペを開催

AIと著作権

AIの開発・活用を行う上では、著作権に関する知識も養っておくことが大切になります。著作権とは、著作物を保護するための権利です。著作物は、思想や感情などを創作的に表現した作品を指し、主に学術や文芸、美術、音楽の範囲に属します。

AIの開発・活用においては、これらの著作物をデータとして収集するケースも考えられます。そのため、あらかじめ著作権について理解した上で、データの収集・活用を進めていくことが大切です。

データセットの著作権

AIの学習に欠かせない学習データを収集する際には、まずはデータを収集し、そのデータをもとにデータセットが生成されます。そしてデータ処理が行われ、学習用データセットが生成されるという仕組みです。

このような場合には、収集したデータが「複製権侵害」に該当する恐れがあるのですが、現在の著作権法では「情報の解析」を目的としている場合であれば、複製・解析を行うことができます。ただし、以下の著作権法に表される通り学習用データセットの販売は禁止されているため注意が必要です。

著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合

引用:著作権法三十条の四

AIが創作した作品の著作者人格権と著作財産権

最近では、AIが自ら作品を創作することも可能になってきています。ただ、ここで気になるのが「AIが捜索した作品の著作者人格権と著作財産権」です。

その一例としては、米IT大手のマイクロソフトとオランダの金融機関 ING グループ、レンブラント博物館、デルフト工科大学などが2016年、AIを使ってバロック時代の有名画家レンブラントの「新作」を発表したことが話題を呼びました。レンブラントの全作品を分析し、タッチや筆遣い、レイアウトの特徴、絵の断面の凹凸や絵の具の厚みまで、詳細にAIに記録させました。

そうした分析の中、もっともレンブラントらしく見えるモチーフとして選ばれたのは人物画。大きな襟のついた服を着た白人の中年男性です。レンブラントの画風を再現すべく、人物の顔パーツの比率も分析。コンピューターが500時間かけて描き上げた肖像画は、レンブラント本人が描いたと言われても信じてしまいそうなほど、緻密で完成度の高いものでした。

しかし、この絵画はいくらレンブラントの画風にそっくりと言っても作者は「コンピューター」なのです。現行の法律上、著作物とは「思想・感情を創作的に表現したもの」とされているため、自ら思考や感情を持たないAIによる創作物に著作権は発生しないという風にも考えられます。ただ、AIが創作した成果物に対する著作権については、現状さまざまな議論が交わされています。

AIが人間の知能を凌駕する「シンギュラリティ」の到来についてもさまざまな見方がありますが、AIが人間を超える知能を持ち、自ら思考力や感情を獲得することがあれば、AIの創作物にも著作権が発生するのかもしれません。

AIと不正競争防止法

AIの導入によって商品(サービス)の品質アップを図ろうとするのは、競合他社においても言えることです。そのため、AIの導入率が高まるごとに、競争も激しくなっていく可能性があります。

だからこそ、事業者間の公正な競争の実現を目指すための「不正競争防止法」によって、経済が健全に発展していくことが重要といえるわけです。不正競争防止法は、不正競争の防止を図ることだけが目的ではなく、営業上の利益を侵害された者の損害賠償、差止請求、刑事罰を整備することも含まれています。

営業秘密としてデータを保護する

平成30年に改正された不正競争防止法では、保護の対象となる一定の価値があるデータとして「限定提供データ」という概念が導入されました。この限定提供データは、不正競争防止法2条7項で以下のように定義されています。

この法律において「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。次項において同じ。)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(秘密として管理されているものを除く)をいう。

引用:平成五年法律第四十七号不正競争防止法

この限定提供データにはビッグデータをはじめ、商品として広く提供されるデータ、コンソーシアム内で共用されるデータなどが含まれます。そのため、限定提供データの不正取得を行うと、民事的措置という形で、当該行為の差止請求、損害賠償請求の対象となるため注意が必要です。

AIと種苗法

これまでAIとは関連性が少ないように思えた農業分野においても、AIの導入が進んでいる状況です。そのため、AIの開発・活用を検討していく上では種苗法についての理解を深めることも大切になります。

種苗法とは、品種の育成者の権利を守るための法律のことです。育成者が持っている「育成者権」の保護を定めた法律であり、1998年に行われた全面改正以降、育成者権を強化するための改正が重ねられてきました。

品種開発をAIで効率化

種苗法では、一定以上の発芽率(正常に発芽する割合)の水準を確保することが販売企業に義務付けられています。そのためタキイ種苗では、品種開発・入荷検査・出荷検査といったタイミングで発芽率の検査を行うことで、品質を確保していました。

しかし、これらの検査は目視で行われていたため、検査量に限りがあったそうです。また、目視での検査にも経験が必要となるため、その技能を継承することが難しいという課題も浮き彫りになっていました。

そこでNTTテクノクロスのAI技術とタキイ種苗の検査業務ノウハウを活用する形で、AIソフトウェアを開発したところ、判定精度98%という結果を生むことに成功したそうです。また、経験が浅い検査員の判定作業に関しては5倍以上の効率化を見込めることが明らかになり、さらなる業務効率化が期待されているといいます。

AIで代替できる弁理士の仕事はなくなる!?

今回は、AIと知的財産権の関係性や、特許調査や著作権管理での活用事例についてご紹介しました。AI活用の幅が広がることで、手作業で行われる業務は減少していくことが予想されます。知的財産権に関する手続きを行う弁理士の仕事も減少していく可能性が高いです。

とはいえ、完全に人間の仕事がなくなるわけではありません。「創造性」が求められる職業は、まさにAIが苦手とする分野といえます。AIが得意とする分野、人間が得意とする分野を正しく理解し、より大きな価値を生み出すことができる働き方を考えていくことが大切になるのではないでしょうか。

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