衛星とAI・人工知能の活用によって新たに実現できるものとは?
最終更新日:2024/04/11
近年はさまざまな分野で積極的にAI・人工知能が活用され始めており、業務効率化だけでなくインフラ整備やセキュリティ強化など、数多くのメリットをもたらしています。そのような中で、衛星とAIの掛け合わせで新たな可能性が生み出されているのをご存知でしょうか。
今回は、衛星とAIの活用によって新たに実現できるものについて詳しくご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
NTTデータは災害状況の把握に衛星とAIを活用
株式会社NTTデータは2020年10から、広域災害の被災状況を素早く把握し、迅速なインフラ復旧を支援するための衛星画像ソリューションをNTT東日本に提供開始しました。このソリューションは、指定されたエリアの災害前後の情報を衛星画像から取得することで、現状を把握したり、復旧計画の策定を支援したりすることができます。
これまで、衛星画像を提供する際は、衛星への事前予約等が必要でした。また、天候によっては撮影できない場合もあるため、1ヶ月近く要してしまうケースもあったといいます。しかし、今回のソリューションでは異なる特性を持つ3つの衛星を組み合わせているため、最短半日での提供が可能になっているのです。
今後は、NTT東日本の管理区域である東日本全域の衛星画像を整備した上で、災害が起きた後に撮影した衛星写真との差分を解析することで変化箇所を抽出していくといいます。これにより、「復旧ルートの検討短期化」「必要資材の推測時間短縮」などといった方法で役立てていくことが可能になるそうです。
また、このソリューションの大きな特徴としては、AIによる情報抽出の技術を活用している点が挙げられます。AIを活用しているからこそ、情報抽出をよりスピーディーに行うことができるようになり、結果的に被災箇所の特定を短期化させることができるわけです。
災害時には一刻も早い対応が求められますので、今後さらにAIによる情報抽出は重宝されていくのではないでしょうか。
人間には検知不可能なデータを得る『DATAFLUCT satellite data analysis.』
(参照:衛星データ×AIで地表を俯瞰、エリアの環境・対象物を瞬時に検出する 『DATAFLUCT satellite data analysis.』 提供開始 | データビジネス創出ならDATAFLUCT[データフラクト]JAXAベンチャー)
JAXA認定ベンチャーの株式会社DATAFLUCTでも、衛星とAIの活用によって効率的なデータ収集を実現しています。DATAFLUCTが開発したのは、利活用ハードルの高い衛星データをAIが分析し、都市や森林、海上といった地球表面のさまざまな情報を確認する「DATAFLUCT satellite data analysis.」という衛星データ解析サービスです。
このサービスでは、人間の目視による調査や分析だけでは明らかにすることができなかった対象物の情報を、AIの解析による「変化の自動検出」によって可視化することができます。また、解析した情報と、株価などの経済指標との相関を示唆することができるのも特徴といえるでしょう。
具体的な分析機能としては、対象物と類似したものを探し出すことができる「類似検索」、対象物を検出して数量を測定できる「検出&検知」、過去に撮影された衛星写真と現在の比較を行うことができる「時系列変化の比較」などがあります。
これらの分析によって、過去との比較で得た時系列変化の情報からさまざまな分析を行う「4次元サイバーシティ」を実現することができるのです。そのため、今後はさまざまな分野のビジネスにおいて衛星データの活用が進んでいくかもしれません。
具体的な事業への応用イメージとしては、店舗の駐車台数を把握することで「自社・他社の業績推定」を行う。または、コンテナや貨物船の検出を行うことで「貿易動向の監視」を行うなどが考えられます。さらに農業などにも活用すれば、「農作物の収穫日や収穫量の予測」や「土地利活用状況の調査」を行ったり、「異常気象災害に対するハザードマップの作成」を行ったりするなど、さまざまな活用が期待できるのです。
もちろん、これらの分野でも衛星データ解析は活用できますので、意外な分野で衛星が導入される日が訪れるかもしれません。
中国では初の「AI・人工知能衛星ネットワーク」を構築予定
中国では、初のAI衛星ネットワークの建設が計画されています。このネットワークは192基の衛星で作られ、衛星にはスマート化ブレーンシステムが搭載される予定だそうです。
スマート化ブレーンシステムが搭載されると、衛星のデータ処理能力を大幅に向上させることができるため、中国の衛星データ産業のスマート化・商業化発展を推進する存在として大きな期待が集まっています。
また、中国が建設するAI衛星ネットワークは、5メートル、1メートル、0.5メートルといった長さの異なる192基の分解能のリモートセンシング衛星が採用されることも明らかになっています。AIモジュールを採用することで、軌道上を周回する衛星は雲と霧の識別を行うことができるようになります。
さらに、衛星は撮影した写真を自動で処理し、気象の影響を受けてしまった伝送する価値のない衛星画像を排除します。そのため、より効果的に画像とデータを地上に伝送することができるのです。AIの強みを活かしているからこそ、衛星データの伝送効率を高めることができることがお分かりいただけるでしょう。
衛星×AIによってさまざまな業界の未来が変わる?
今回は、衛星とAI・人工知能の活用によって新たに実現できるものについてご紹介しました。衛星とAIを掛け合わせることで、これまで以上に素早くデータ分析を行い、最適な提案を行えるようになることがお分かりいただけたのではないでしょうか。特に、災害情報の把握などはスピードが求められる部分でもあるため、今後AIは欠かせない存在になっていくはずです。
また、日本では現在、少子高齢化に伴う人手不足問題が深刻化しています。そのため、AIの活用によって「人力での情報収集・分析」といった業務の負担を軽減できるという点も極めて大きなメリットといえるでしょう。
もちろん、人力での情報収集が必要になる場面もあるかもしれませんが、AIはデータの蓄積量に比例して予測精度が高まっていくという強みもありますので、今後「データ分析」という領域はAIが担っていく可能性が高いでしょう。
一見、衛星データは活用の幅が狭いもののように感じられるかもしれません。しかし、農業や不動産業など、さまざまな業界で活用の余地があるのです。今後、どのような業界で衛星とAIが導入されていくのか、注目していきましょう。
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