議事録作成AIとは、「音声認識機能を活用して音声をテキスト化し議事録を作成するAI」のことです。議事録の作成は、打ち合わせを行う度に毎回発生する作業です。作成には手間と時間がかかるため、担当者の負担になっています。その背景から、議事録の作成を効率化したいというニーズは高まっており、それに応えるように議事録作成AIの精度も向上しており、さまざまなアプリ・作成ソフトが登場し始めている状況です。
ここからは、自社でも「議事録作成AIを導入したい」と考えている方に向けて、議事録作成AIツール導入のポイントをご紹介します。
議事録作成AI導入の目的を整理する
議事録作成AIは飛躍的な発展を遂げており、音声をテキスト化するだけではなくタスクの自動抽出機能や他言語への翻訳機能を持つ製品もあります。自社に必要な機能を選定するためには、下記の例のように「抱えている課題」と「どのような機能があれば解決できるか」をまず洗い出してみることが重要です。
<基本機能で解決できる課題>
・議事録作成にかかる時間がもったいないので、とりあえず話した内容をまとめる機能が欲しい
<追加機能が必要となる課題>
・話している内にタスクが何なのかが曖昧になるため、AIにタスクを抽出してほしい
・外国との取引もあるが言語に不安があるため、翻訳機能が欲しい
課題と解決方法の洗い出しにより自社での導入目的を整理し、必要な機能が備わった議事録作成AIを選ぶようにすると良いでしょう。
議事録作成AIツール・サービスを選ぶ際には、どのようなポイントに着目すれば良いのでしょうか。ここからは、議事録作成AIツールの選び方について詳しくご紹介していきます。
・AIによる音声認識の学習機能
ツールによっては、AIによる音声認識の学習機能によって精度を高めることができる機能が搭載されているものも存在します。より高い精度のAIを必要とする場合には、この「音声認識の学習機能」が搭載されているかどうかが非常に重要なポイントといえるでしょう。
また、固有名詞・略称・専門用語・特有の言い回しなども、ツールごとに対応できる範囲や精度が大きく異なる傾向にあります。そのため、導入事例を参考にしながら、自社の分野を得意としているツールかを見極めていくことも大切です。
さらに、発言者ごとの音声とテキストの紐付け対応が行えるツールなども存在するため、自社の目的に合わせて最適な機能を搭載したツールを選んでいきましょう。
・多言語対応・翻訳機能
ツールごとに、対応している言語の数は異なります。最近では、多言語での文字起こし機能が搭載されている議事録作成AIツールも多くなってきました。そのため、多言語での活用を想定している場合には、必ずチェックすべきポイントといえるでしょう。
中には、リアルタイムでほぼタイムラグなく翻訳できるツールも存在するため、スピード感もチェックすべきポイントの一つといえます。
・編集・データ出力機能
ツールによって、編集機能やデータ出力機能は大きく異なります。たとえば、テキストに落とし込んだものを記事起こしする際に、見出しやコメントなどをつけたり重要な部分をチェックできたりする機能が搭載されていれば、より効率的に記事作成を進めていくことが可能です。
記事作成を前提としている場合であれば、「編集・データ出力機能」は必ずチェックすべきポイントといえるでしょう。
・音声データのセキュリティ対策
会議では、機密情報や個人情報を扱うこともあるでしょう。こういった情報を扱う機会が多い場合、サービスが録音データを厳重に管理できる機能が欠かせません。そのため、サービスごとにどのような形でデータを管理しているか確認しておきましょう。企業専用のクラウドサーバーで管理するサービスやネットワーク非接続型のサービスなど、セキュリティの高いサービスをおすすめします。
・モバイルデバイス対応
多くの議事録作成AIサービスは、外部接続マイクが個別で必要となる場合が多いものの、中にはスマートフォンでも対応可能なサービスも存在します。そのため、モバイルデバイスも有効活用していきたい場合には、ツールごとにモバイルデバイス対応しているかチェックしてみましょう。
議事録作成AIツール・サービスを導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。また、どのようなデメリットが生じる可能性があるのでしょうか。ここからは、議事録作成AIツール・サービス導入によるメリット・デメリットについてご紹介していきます。
議事録作成AIツール・サービス導入によるメリット
議事録作成AIツール・サービス導入によって得られるメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
・時間や手間を短縮できる
これまでの議事録作成は、手入力でテキスト化していくのが一般的でした。そのため、入力者のスキルによってスピードが大きく変化するだけでなく、ミスが頻発しがちな傾向にあったのです。当然、手入力は多くの時間も消費してしまうため、コア業務に集中できないという大きな問題も発生していました。
その点、議事録作成AIツール・サービスを活用すれば、これまで手入力で行っていた文字起こしを自動化できるため、大幅な作業時間の削減を実現可能です。また、高い精度での文字起こしを実現できるため、人間のようにミスが起きてしまうリスクも少なくなります。コア業務にリソースを回せるという点でも、大きなメリットといえるでしょう。
・情報共有が容易にできる
議事録作成AIサービスを導入すれば、編集機能や外部出力機能の活用によってより効率的に情報共有を行えるようになるメリットがあります。また、最近ではSNSなどの外部ツールと連携できる機能を搭載したサービスも多くなってきているため、より戦略的な活用方法を見出していくことも可能です。
議事録作成AIツール・サービス導入によるデメリット
導入のメリットがある一方で、いくつかデメリットがあることも事前に把握しておく必要があります。具体的には、以下のような点が挙げられるでしょう。
・どんな製品だろうと人の手による対応が必要
音声からのテキスト起こしの精度は、製品・環境によって大きく異なります。そのため、文字起こしを自動化できたとしても、最終的には人の目で見て内容をチェックしなければなりません。より正確な文字起こしを実現するためには、人の目によるチェック作業が必要となる点は、一つのデメリットといえるかもしれません。
議事録作成AIは高い精度を実現できますが、決して100%ではありません。高性能の製品を使用しても、1つのミスもなく自動作成することは、ほぼ不可能なのです。したがって、自社で最終チェックに割けるリソースや議事録の使用シーンから、どの程度の精度で議事録を作成できれば良いのか、あらかじめ基準を設けておきましょう。そうすることで、製品を検討する際の指針が決まりやすくなり、選択すべき議事録作成AIツールも明確にできます。
・音声取得時の環境に左右される
議事録作成AIツールを利用する場合でも、雑音やマイクの性能によって精度が低下してしまうケースがあります。そのため、高い精度での文字起こしを実現するための環境整備が必要不可欠です。また、高性能のマイクを用意するコストも検討する必要があるため、考え方によってはデメリットといえるかもしれません。
なお、議事録作成AIツールにおすすめなのは、特定方向から発せられた音だけを拾う指向性のマイクです。ノートPCに標準搭載されているマイクは、指向性ではなく周囲の雑音なども拾ってしまうため、複数人での会議には適していません。
議事録作成AIツール・サービスにはさまざまなメリット・デメリットがあることがお分かりいただけたかと思いますが、導入自体がゴールではありません。むしろ、ツール導入後の運用にも注意しなければ、導入が失敗に終わってしまう可能性もあるのです。
議事録作成AIツールは、AIを利用しているということもあり、定期的なチューニングが欠かせません。適切なデータを学習できているか確認しなければ、精度が悪化してしまう可能性があるからです。AIの精度を維持・向上させるためにも、定期的なメンテナンス・チューニングを怠らないようにしましょう。
また、辞書機能を活用することも、導入後の運用ポイントとして重要な点です。議事録作成AIには辞書機能を持つ製品が多くあり、辞書機能は事前に単語を登録できます。
音声認識の精度に関わらず、議事録作成AIは「固有名称」「専門用語」「略称」を認識するのは不得意です。このような言葉を頻繁に使用する場合には、辞書機能を使って登録しておくと修正の手間が省けるため、積極的に利用していくと良いでしょう。
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議事録作成AIツール・サービスには、さまざまな特徴やメリットがある一方で、導入前や導入後に気をつけるべきポイントもあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
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