『AI』AI・ChatGPTのビジネス活用を戦略立案から開発・運用までご支援
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株式会社TechArtist数千に及ぶ製品を保有する株式会社バッファローは、入電数削減と顧客利便性向上のため、2017年より「LINE」のチャットサポートを開始し、オペレータによるチャットの問い合せ対応を行っています。
LINEの有人チャット問い合わせが50%に迫る株式会社バッファローの、お客さまサポートの現在地とこれまでの取り組み・これからについて、品質保証部 CS課長 嶋田氏、CS課CS係長 平塚氏、CS課 中塚氏、CS課 八釼氏に伺いました。また、協同で取り組む業務委託先である株式会社NTTマーケティングアクトProCX CXソリューション部 鵜森氏、藤原氏に同席いただいております。(中塚氏にはオンラインでご参加いただきました。)
ーカスタマーサポートの役割は、単なる課題解決からCXの向上や顧客満足度の向上、経営への貢献という面にも広がりつつあると思います。そのような中で、バッファロー様で掲げている方針や戦略について教えてください。
Xでお客さまがつぶやいていることに対して、こちらからアクティブにサポートする活動を始めています。
10月からは新たにInstagramにもサポート窓口を開設する予定です。これは他社でもまだ行われていないので、いち早く始めます。
これにより、全体的なオムニチャネルが出来上がります。そのうえで、主力を電話からチャットに移行させたいと考えています。
バッファローさんのアカウントがあり、そこで情報発信もされていると思います。その投稿内容を見たユーザーのコメントに対して、それは問い合わせではないかもしれませんが、バッファローさんが回答をして付加価値、付加情報を提供していくイメージですか?
X上にはサイレントカスタマー、つまり弊社に問い合わせをしないお客さまが多くいると考えています。
弊社のお客さまは90%が40代以上の男性で、その方々はWebを見て電話をする場合がほとんどです。一方のXは30代以下の女性が多く、ほぼ問い合わせをしてこないお客さまが、そこに眠っている状態なのです。
そのようなお客さまのお困りごとを解決できるように、X上でサポート情報を発信して、何かあればXのDM機能で直接サポートする取り組みを行っています。
現在、連絡した後のDM返信率は上がっています。ただ、実際にお客さまの製品に不具合が起きた場合、ご家族などが代わりに連絡していることが多いようです。なので、この対応も考える必要があると思っています。
ただし、どうすれば上手く展開できるのかという点は、これから試行錯誤していくことになります。
ですので、この4つのチャネル(Web、LINE、X、Instagram)で全体を上手くカバーできるのではないかと考えています。
ー各チャネルの問い合わせ件数や、チャットの運用状況について教えてください。
一人のお客様に対して一人が付きっきりで対応するわけではありません。特に熟練の方は6人同時対応を行っています。それぞれのお客さまにルームを立ち上げ、回答をしながら各履歴を残し、終了すれば次のお客さまの対応を行うという形が、現在の稼働状況です。
それを管理者にチェックしてもらい、例えば対応人数が減ってくれば別のチャネルの空いている人材を移動させるなど、放棄を出すことなくしっかりと対応できている状況です。
同時対応でそれぞれ問い合わせ内容も異なる時に、例えばお客さまAに対応しているものを後処理ツールのAの場所に残す、お客さまBに対応しているものを後処理ツールのBの場所に残すという形にしていくと、お客さま対応をAからBに切り替える時も、それを確認することで要約情報もわかります。
それによりお問い合わせ切り替え時の負担も減らせるので「しっかりとルーム番号を見る」という運用ができています。
ーKPI指標とされている項目について教えてください。
LINE利用率は、2017年当時は20%目標でしたが、今期は50%を目標にしています。現状だと約48%で、目標に近づいています。応答率は90%が目標です。
CPHは5.0を目指し、日によっては近い数値も出せています。CPHの定義は様々ですが、弊社ではLINEチャットのブースで稼働しているオペレータがいれば、その稼働時間から対応完了件数割った数値で生産性を示すものとして定義しています。
先程の話の通り、より短時間でお客さまに対応することや、LINEチャットの問い合わせが少ない時に席数コントロールを行い、オペレータ負荷のバランスをみてCPHを維持することを目標に、3つの指標で対応しています。
また、始めたばかりで利用も少なかったので、土日対応も行っていませんでした。しかし土日対応へのご要望が出始めたので、まずその点の対策を行いました。
やがて、LINEチャットを使った方から「対応に時間がかかった」「回答がわかりにくかった」というお声がありました。せっかく利用頂いても不満があるとまた電話に戻ってしまうので、その点も対策することにしました。
LINEチャットの認知向上のため、まず1番目にウェブでの案内、2番目にメールとXでの案内を行いました。また電話でも、時間のかかったお客さまにはオペレータから「LINEの方が空いているので早く対応できます」という案内を行いました。
3番目は、Call to LINEを導入し、電話待ちの時間に「チャットやLINEは空いているのでそちらを使うように」という案内を流したことです。
これらの施策によって、利用率は6%から10%(2018年7月)まで上がりました。この後、次の4~6番目の施策を行い、利用率は10%から15%に増加しました。
4番目はサポート対象製品の拡大です。
最初は一部の製品から始めていました。やがてお客さまの数が増えてきたので、全製品に広げることにしました。また、土日対応も開始しました。
5番目はLINEチャットの営業時間です。
電話窓口は9時半~19時まで対応していたのですが、それよりもLINEチャットの営業時間を長くすることで、電話窓口は終了しているのでLINEを使おうと思ってもらうことが可能です。
6番目は、Call to LINE導入後にIVRの改修を行い「チャット」という言葉をお客さまの頭に刷り込むという施策を展開しました。そして利用率は15%まで増加しました。
直近は、お客様がFAQを探している時に「チャットで相談」を各所に表示するという施策も展開しています。
LINEは、画像を送信できる点が弊社にとっては非常に大きなメリットです。
今までは「ケーブルがどこに挿さっているのか」「LEDがどういう状態になっているのか」などを言葉で説明して頂き、回答も言葉で伝えていたので、恐らく「よくわからない」と感じるお客さまもいらっしゃったと思います。そこで写真を撮ってもらうと、こちらも早く認知し回答できます。
また動画も、弊社サポートでは有効です。
「設定はこうするように」という説明を文字で言われてもわかりづらいと思うので、FAQ動画を送っているのです。弊社では通常は5~6分の動画を制作しますが、LINEチャットで長時間の動画は見てもらえないので、1分動画を制作し、それをご覧いただくようにしています。
そうすることでお客さまも早く理解できますし、もしわからない場合は更に長い動画のご案内をし、自己解決いただけるようにしています。
また動画は写真よりも伝わりやすいと思います。その点について、お客さまからの反応はいかがでしょうか。
作成した動画は、YouTubeに無料で公開していました。これにより、2013年に1か月に約10万件の電話問い合わせがあったところ、2015年には7万件の30%減にすることができました。FAQに動画を貼り付けることは、今となっては弊社で当たり前となっていますが、それを始めたことにより、約2年で30%減を達成できたのです。
またお客さま応対の方法について、立ち上げ当時にお客さまを4種類の「タイプ」に分け、タイプごとに回答する対応をしてもらいました。
これによりお客さまアンケートの結果として、満足度が65%から91%まで増加しました。
このように現在まで様々な施策を行い、2023年8月にはLINE利用率約48%、入電数も約50%でほぼ同値です。
ー今後の戦略や展望について教えてください。
そのため、これ以上施策を進めていったとしても、どこかで満足度の下がるタイミングがあるだろうと思っています。そこを見極めることが一つの課題です。
今期は50%を目標としていますが、私としては70%も可能ではないかと思っています。他社で分析したデータによると、絶対に電話がいい方は約30%だと言われています。それ以外の70%のお客さまには、上手くいけばご利用頂けるのではないかと考えるためです。
どうしても電話を必要とする方はいらっしゃるので、電話の窓口は完全に閉鎖するわけではありません。ただ、広い時間帯で受付を行うLINEをより活用してもらうために、電話の営業時間も考慮しながら、LINE問い合わせのお客さまを増やす活動をしていきたいと考えています。
本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。
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