アノテーションツールの特徴
現状は、アノテーションツールを使用してもアノテーションの完全自動化はできません。なぜなら、アノテーションツールには下記のような特徴があるからです。
- 活用できる領域が限られる
アノテーションを自動化するには、一定基準の元データを学習させる必要があるため、活用できる領域に限りがある
- 制度が保障できない
アノテーションを導入し自動化するメリットは、人によるアノテーションよりもコストが抑えられることです。しかし、人のチェックを入れない場合その精度は保証できません。そのため、極めて高精度であることが要求されるAIには向いていないでしょう。
- 細かい作業は苦手
アノテーションツールは、画像の中で対象物を四角く囲むような作業を得意としています。一方、対象物の領域を検出するような細かい作業には向いていません。
このようにアノテーションツールによる完全自動化はまだ難しいのが現状ですが、アノテーションツールを利用することにより作業を効率化させることは十分可能です。
アノテーション外注・代行サービスについて理解する
アノテーション作業を社内で行わず、外注・代行サービスを利用しアウトソーシングすることは一般的になってきています。アノテーション外注・代行サービスを利用するメリットとしては下記が挙げられます。
- コア業務に集中できる
アノテーションは膨大な時間と手間がかかる作業ですので、開発や研究の人員に任せていると肝心のコア業務に注力するのが難しくなってしまいます。外注することで、本来の担当分野に注力できて生産性が向上することが期待できます。
- コストを抑えられる
アノテーションを外注する場合、アノテーション専用の人材を雇う必要や社内にて教育を行う必要がありません。また、必要な時に必要な量だけ依頼することができるので、結果的にコストを抑えられることが多いです。
以上のアノテーションツールとアノテーション外注・代行サービスの特徴を理解した上で、自社に合った方法を選びましょう。
アノテーションの種類・機能
アノテーションには、いくつかの種類・機能が存在します。代表例としては以下が挙げられます。
機械学習による画像認識・映像処理といった業務は、機密情報を自動認識して漏洩を防止することや、自動車の自動運転など、幅広い分野で活用されています。それらを実現するために利用されているのが、画像・動画のアノテーションです。
対象がテキストである場合にも、さまざまな目的でアノテーションが行われます。その一例としては、プロモーション実施における顧客データ整備(分析)などが挙げられるでしょう。複数のシステムに大量の顧客データが分散している場合、それらの顧客データを分析するためにはまず一度すべてのデータを抽出しなければなりません。ただ、その際にあらかじめ定めた分類項目に沿ってタグ付けを行っていくことで、より効率的に集計や分類を行うことができるわけです。
音声のアノテーションは、一般的に音声認識製品を開発する際に用いられます。その製品の音声認識機能を向上させるためには、さまざまなパターンの話し声、さまざまな環境での会話を考慮しなくてはなりません。そのため、大量の音声データを書き起こして文章にしたり、その音声認識ソフトで文章化されたものが適切かどうかを確認したりする作業が行われます。
アノテーション検討時に確認すること
アノテーションの効率化の方法には、「アノテーションツールの導入」と「アノテーション外注・代行サービス利用」の2通りがあります。それぞれの方法において、検討時に確認しておくと良いことをご紹介します。
<アノテーションツールを導入する場合>
アノテーションツールの導入を検討されている場合、下記ポイントを確認しておきましょう。
- アノテーションツールの精度が実用レベルに達しているか
アノテーションの作業対象は、テキストや音声や画像などさまざまです。また、どのような関連付けをしてほしいかによってもアノテーションの難易度は変わるため、自動化を検討している作業のアノテーションツールの精度を確認しておくことが大切です。
- アノテーションツール導入により、どの程度の効率化が可能か
現状は、アノテーションツールを導入しても完全自動化は難しいため、人によるチェックや修正が必要です。最初から人が作業した方が早かったということにならないよう、確認や修正作業を考慮した上でどの程度業務が効率化されるのかを確認しておきましょう。
<アノテーション外注・代行サービスを利用する場合>
アノテーションツールでの効率化が難しい場合や、アノテーション作業自体を外注したい場合は、アノテーション外注・代行サービスがおすすめです。外注先を検討する際のポイントをご紹介します。
- 使用しているアノテーションツール
アノテーションツールによって作業効率や精度に差が出るため、外注先で使用しているツールを確認しておくことが大切です。専用ツールや自社開発ツールを使用している会社であれば、より専門的な作業にも対応ができるでしょう。
- 対象データのジャンルに特化した企業なのか
アノテーション代行サービスを提供する会社の中には、扱うデータのジャンルを限定している会社があります。たとえば建築・土木に関するデータのアノテーションに特化している会社や、画像認識AI開発用のアノテーションに特化した会社などがあります。
必ずしも専門の会社である必要はありませんが、自社で扱うデータの専門性が高い場合は、このような専門会社を検討してみると良いでしょう。
アノテーションの選び方
アノテーションツールの導入を検討する場合、どのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。選ぶ上で重要なポイントをチェックしていきましょう。
目的を明確にする
アノテーションツールには専門のデータに特化しているツールがあり、目的によって最適なツールが異なります。そのため、自社で扱うデータのジャンルやアノテーションの目的を明確にすることが重要です。自社の目的を明確化した上で、その目的を達成できる最適なツールを選択しましょう。
作業内容に合ったものか
アノテーションツールは、ツールごとに異なる特徴を持っているため、作業内容に合う最適なものを選ぶことが大切です。また、従業員が効率的にツールを活用できるように、ガイドラインを策定することも重要になるでしょう。
アノテーション作業は複数のメンバーが関わることが多いため、ルールにズレがあると精度に影響が出ます。また、プロジェクトごとに目的やクリアするべき精度の基準が異なるため、プロジェクト単位でルールをまとめてガイドラインを策定し、プロジェクトメンバーで共有しておくのがおすすめです。
出力フォーマットは自社のAIに合っているか
アノテーションツールによって、データの出力フォーマットはさまざまです。そのため、検討しているツールの出力フォーマットが自社で使用しているAIのソフトウェアで処理できるフォーマットかどうかが要確認のポイントです。
操作性・機能は良いか
ツールの操作性の高さは、アノテーションの効率や精度に影響します。直感的に操作できるツールは、スタッフ教育のコストを抑えることができます。大人数で取り組むような大規模なアノテーション作業においては、タスクのアサインや進捗状況が一目でわかる機能を備えたツールがおすすめです。
アノテーションツール導入のメリット・デメリット
では、実際にアノテーションツールを導入した場合、どのようなメリットが得られるのでしょうか。また、どのようなデメリットが生じる可能性があるのでしょうか。メリット・デメリットをそれぞれ詳しくみていきましょう。
●アノテーションツールの導入のメリット
アノテーションツールを導入するメリットとして挙げられるのは、画像認識・動画認識・音声認識の精度を高められることです。
アノテーションの数が多くなるほどAIの精度も向上していくため、より高い精度を実現したい企業にとってアノテーションツールは必要不可欠といっても過言ではありません。
●アノテーションツールの導入のデメリット
アノテーションツールを導入しても、確実に効果を得られるとは限らない点は一つのデメリットといえるでしょう。先ほどもご紹介したように、アノテーションツールを導入しても完全自動化を実現することは難しく、人の目による確認作業が必要です。
そのため、専門知識を持たないスタッフによる適当な確認作業では、効果を得られず失敗に終わってしまう可能性があります。そのような事態を避けるためにも、アノテーションの専門家による作業を依頼できるツールを見極めていくことが重要です。
アノテーションの選び方ガイド
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アノテーション導入後の注意点・運用のポイント
AIを導入後、予想より精度が低いという事態が起こることもあります。AIは導入すれば終わりではなく、導入後も精度を維持向上させることが欠かせません。そのために必要な運用のコツをご紹介します。
アノテーション作業を見直す
アノテーションの精度はAI自体の精度に大きく影響するため、AIの精度が低下してきたと感じたら使用しているアノテーションツール・サービスを見直してみましょう。見直す際は、下記に注意しましょう。
<発生している問題の例>
- ルールから逸脱したアノテーションが行われている
- これまでになかった新しいデータが増えていて、新たにアノテーションのルールを設定する必要がある
アノテーションツールは、ツールごとに異なる特徴があります。そのため、目的を明確化した上で導入することが大切です。また、導入がゴールというわけでもなく、作業を見直し改善することで、アノテーション精度の維持向上を行えるようになります。今回ご紹介したポイントを参考にしながら、アノテーションツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。