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【Vol.11】世の中の不平等をAIでなだらかに。 カブール陥落直前まで、市民の声を拾い続けた「D-Agree」とは

2022.06.24

AGREEBIT株式会社

このインタビューの要点

・AIが議論を中立的にファシリテートするシステム「D-Agree(ディーアグリー)」を展開
・アフガニスタンの12の省庁で導入、アメリカ軍の撤退について匿名での議論の場に
・世界に必要とされている「立場や国力の差、距離、言語の壁を越えた」中立的な議論の架け橋となる

AIが議論の進行役や合意形成を行うサービス「D-Agree(ディーアグリー)」。数万人が集まるオンライン議論の中でも、小さな声を拾い上げることが可能だといいます。AIが自動的に議論のファシリテーションを行うため、大規模な意見集約が可能なシステムです。集まった意見は、AIにより、議論内容の抽出、構造化、分析が行われ、さらに議論を深めることができます。今年5月にリリースされたばかりのこのサービスは、すでに日本だけではなく、世界においても導入が進んでいます。アフガニスタン自治体にも導入され、カブール陥落直前まで市民の声を拾い続けていました。「D-Agree」を開発したAGREEBIT創業者であるCEOの桑原英人氏に話を伺いました。

海外でも導入が進む「AIが議論をファシリテートする」システム

NTTPC
AIで議論をファシリテートする「D-Agree」。AGREEBITさんでの開発の経緯を教えてくださいますか。

桑原
AGREEBITは創業して3年目の新しい会社ですが、「議論の合意形成や意見集約をする」というプロジェクトは、10年以上も前から取り組んでいました。
最初は、名古屋市とのプロジェクトで、市議会でのディスカッションにおいて合意形成をするシステムの開発に取り組んだことがきっかけでした。

世の中の多くのディスカッションは、ファシリテーターの力量次第で合意形成までのプロセスに差が生じます。これに対して課題を感じていました。そこで、ファシリテートの機能を標準化し、AIの技術で議論をより深めたり、広げたりすることで、世の中のディスカッションを円滑にするサービスができるのではないかと考えたことが始まりです。

このシステムに、我々が得意とする自然言語処理の技術を掛け合わせて、今の「D-Agree」の原型となるサービスにたどり着きました。

NTTPC
実際、まだローンチして数ヶ月ですが、どんなところに導入されていますか?

 

桑原

自治体や教育現場、国際会議などで利用されています。

公の機関で導入が進んだ理由は2つあって、コロナで集まれないからオンラインで意見集約をしたい、というのが1つ。そして、2つ目に、それまで実際に行われていたタウンミーティングは、偏った意見に囚われてしまい議論がなかなか進まないという課題にフィットしたという点です。

オンラインで開催できれば、参加する側も場所の制約や移動にかかる労力がかからないため、より多くの人が参加できます。そして、会場の空気や、発言力の強い方に引っ張られることなく、フラットな気持ちで参加できることと、AIが進行役となり、中立的な立場でさらに議論を深めてくれるというメリットもあります。実際に人間がファシリテーションするよりも2倍程度多く意見を集めることができています。

また、少数派の意見であっても、AIが良いアイデアを拾い上げることが可能です。
画期的なアイデアは、必ずしも大人数から生まれるものだけではないですよね。

現在は最大で1万人が利用できますが、今後は10万人、100万人でも同時に利用できるようにアップデートする予定です。

※これより先は外部のウェブサイトに移動します

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