ノーコードでAIやIoTをより身近に「Gravio(グラヴィオ)」| AIポータルメディア「AIsmiley」

2022.12.26 / 更新日:2023.04.05

江戸時代より約400年続く老舗旅館「一の湯」、Gravio導入でDXを加速 顧客も従業員も快適な空間づくりへ

AIsmileyはAI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio」の特設サイトを公開し、「Gravio」の導入事例を紹介しています。今回は、400年近い歴史を誇る老舗旅館「一の湯」の、Gravio活用事例を紹介します。

NEW: 一の湯様のインタビュー事例動画をリリースしました。

■「旅館業のDX」で高いプライスバリューのあるサービスを実現する

江戸時代から箱根の地で長らく温泉旅館を運営してきた老舗旅館の一の湯では、デジタル活用による顧客サービスの品質向上と低価格化、さらには従業員の働き方改革の取り組みを進めています。その一環として、今回GravioのIoTソリューションを導入、限られた人員や予算の中でも迅速にシステムを構築し、さまざまな業務における生産性を改善し、顧客サービスの向上を実現しました。

――まず御社の事業内容について簡単に教えてください。

――大野氏

弊社は箱根エリアにおいて温泉旅館を9軒運営している会社です。創業は江戸時代の1630年にまでさかのぼる老舗ですが、決して高級路線ではなく、広い層の方々にリーズナブルな価格で気軽にご利用いただくことをモットーにしています。そのために旅館業としては珍しく、チェーンストアの経営手法を取り入れて業務生産性を向上させ、そこで節約できたコストをサービスの価格や品質に還元してお客さまに「安くて、かつ品質の良いサービス」をご提供しています。


――DXやデジタル活用の取り組みにも力を入れてらっしゃるそうですね。

――大野氏

はい。ITを積極的に活用することで業務生産性を向上させて、その分浮いたリソースをお客さまにご提供するサービスの向上に生かしています。また働き方改革を実現するための手段の1つとしても、デジタルを積極的に導入しています。他の業界と同じく、旅館業も現在人材不足に悩まされていますが、DXでより快適に楽しく働ける環境を実現できれば自然と多くの人材が集まってきますし、お客さまにご提供するサービスにもより多くの時間を割けるようになります。現在社長の小川が率先してこうした取り組みをリードしており、「宿泊の常識を変え、宿泊によって日常生活の豊かさを提案する」という経営理念の下に業務改革を推進しています。


株式会社 一の湯 店舗運営部長 / 広報担当 大野 正樹氏

――具体的にどのようなデジタル活用の取り組みを進めているのでしょうか。

――今泉氏

一例を挙げると、業務マニュアルの電子化を進めたり、水道やガスのメーターをOCRカメラで自動的に読み取る仕組みを導入したり、LINE WORKSを全社導入して従業員同士のコミュニケーション・コラボレーションの円滑化を図っています。また紙の書類を排してペーパーレス化したり、社内会議をWeb会議ツールのZoomを使って実施するといった取り組みも進めています。目新しいところでは、配膳ロボットや掃除ロボットの導入なども現在検討しているところです。

 


株式会社 一の湯 組織開発部長 今泉 正行氏

――今回Gravioを導入したのも、こうした取り組みの一環だったのでしょうか。

――今泉氏

その通りです。以前からIoTやAIを用いた業務改革の可能性を模索しており、例えば温浴設備にIoTセンサーを取り付けて稼働状況を監視したり、夜間に不審者が館内に侵入することを防ぐためにカメラで不審者を自動検知するような仕組みをIoTで実現できないか検討していました。そうした取り組みの一環としていろいろなIoT製品・サービスのことを調べている過程で、Gravioのことを知りました。

■高機能と簡単導入を兼ね備えた「Gravio」を導入

――Gravioのことを初めて知ったときの第一印象はどのようなものでしたか?

――今泉氏

独自のノーコードツールでプログラミング作業なしでIoTシステムを構築できる点や、用途に応じたさまざまなセンサーを無料で利用できる点は、まさに弊社のニーズに合致していると感じました。またスモールスタートできるプランが用意されており、導入のハードルがとても低い点にも強く惹かれました。

 

――大野氏

弊社の社長は新しいことへのチャレンジを積極的に推奨しており、「とりあえずチャレンジしてみる」「もし失敗しても、そこで得た学びを次のチャレンジに生かせばいい」というカルチャーが社内に根付いています。従ってGravioについても早々に導入を始めることにしました。


――具体的にはどんな用途にGravioを適用されたのでしょうか。

――大野氏

IoTによる業務の効率化・省力化が見込めるであろう幾つかの業務に対して、早速Gravioを導入してみることにしました。例えば、温浴設備の操作履歴を自動的に記録する仕組みもその1つです。温泉施設の制御設備のバルブ開閉といった操作は、決められた手順と周期に従って正しく行わないと故障の原因になります。結果、お客さまに温泉が提供できなくなったり、膨大な水道費・光熱費を請求されたりと業務に多大な影響をもたらします。しかしこれまでは操作漏れをチェックする仕組みがなかったために、定期的に人為ミスが発生していました。この課題をGravioを使って解決できないかと考えました。

 

――今泉氏

具体的には、設備の傍にGravioのワイヤレスダブルスイッチを設置し、毎日の操作を終えたら必ずこのスイッチを押下するようルール化しました。スイッチが押下されると、その旨が自動的にGoogleスプレッドシート上に記録されるようになっていて、さらに毎日決まった時間にスプレッドシートの内容をプログラムでチェックして、もし記録が残っていなかったら担当者のLINE WORKSに通知する仕組みを新たに構築しました。

 



温浴設備の操作パネルにダブルスイッチを設置して、
温浴設備の操作記録とLINE WORKSを利用した通知により、
操作の抜け・漏れを防止することで、確実な温泉の提供を実現。

――こうしたIoTシステムの構築はどのように行われたのでしょうか。

――今泉氏

基本的には私が本業の人事業務の合間に行いました。Gravioはプログラミング不要なノーコードで操作できるので、限られた時間の中でも非常に効率的に作業を進めることができました。アステリアさんが公開されているブログに豊富な設定情報が載っているので、大抵の処理はそこに書かれている通りのことをすればうまくいきました。

中にはなかなかうまくいかなかったこともあったのですが、アステリアさんのサポート窓口に問い合わせるとメールで丁寧に回答いただいたり、Web会議で担当の方とつないで直接レクチャーいただくなど非常に丁寧にサポートしていただけたので、私一人だけでも比較的短期間のうちに実装できました。

■早々に複数の業務の自動化・効率化をGravioで実現

――そのほかにはどのような業務にGravioを適用されたのでしょうか。

――今泉氏

旅館の玄関にGravioの人感センサーを設置して、お客さまの来訪を検知したら即座に従業員のLINE WORKSに通知する仕組みも構築しました。チェックイン・チェックアウトが集中する時間帯には常時フロントに従業員が待機しているのですが、それ以外の時間帯には裏でほかの業務に従事していることが多く、フロントが一時的に無人になることもあります。そんなときであっても、お客さまにわざわざ呼び鈴を鳴らしていただく手間を取らせることなく、来訪を自動的に検知してフロントで先回りしてお客さまをお待ちできるようになり、サービス品質の向上に一役買っています。



――大野氏

トイレの個室ドアにGravioのドア開閉センサーを取り付けて、トイレの利用回数を自動的に取得できる仕組みも導入しました。これによって前日のトイレ利用状況を基に、当日のトイレ清掃作業に投入する人員の割り当てを最適化できるようになりました。弊社の現場部門では、あらゆる作業のスケジュールをなるべく細かく15分単位で精度高く策定することに取り組んでいるのですが、清掃部門ではこのGravioの仕組みを導入することでトイレ清掃の作業に過不足なくちょうど適切な数の人員を投入できるようになりました。



――Gravioのセンサーデバイスの取り付け作業も自社で行ったのですか?

――今泉氏

はい、すべて自分たちで行いました。設置作業はとてもシンプルで、特に戸惑うことはありませんでした。一部、センサーとゲートウェイの距離が離れすぎてうまく通信できなかったり、人感センサーの設置角度をいろいろ調整する必要があったりと多少試行錯誤した点もありましたが、総じて設置作業自体はとても簡単でした。

■Gravio活用で顧客・従業員双方にとって心地よい環境を実現する

――こうした仕組みを業務現場に定着させるために、どんなことを心掛けていますか?

――今泉氏

業務現場に新たな仕組みを導入する際には、一時的に現場に負担を掛けることになりますから、そうした負担をなるべく減らして、かつ誰が使っても「これは確かに便利だ!」と感じてもらえるような仕組みにしていきたいと考えています。中途半端な状態で導入した挙句、現場に不便を掛けてしまうと、それ以降は一切使ってもらえないこともあり得ますから、現在も現場の使い勝手を考慮した細かいチューニング作業を続けています。


――ちなみに現在新たにGravioの導入を検討している業務はありますか?

――大野氏

ちょうど今、Gravioを使ってレストランの温度管理を自動化できないか検討しているところです。レストランの温度管理はとても繊細で、お客さまがいらしたときに「寒い」と感じていても、食事を始めると気にならなくなることもあります。また料理にはガスコンロを使いますので、食事の前後では明らかにレストランの温度は違ってきます。そもそも同じ気温でも人によって体感温度は違いますし、お客さまと従業員とでも体感温度は異なってきます。

そこでレストランにGravioの温湿度センサーを設置して、現在の正確な温度を可視化したり、空調の操作による温度変化の傾向をあらかじめ正確に把握しておくことで、より快適な温度管理が可能になるのではないかと考えています。



ガスコンロを使った食事(夜・朝)を提供するため、食事の前後で温度が変化。
正確な温度の可視化と空調操作による温度変化の傾向について、温湿度センサーを
利用し把握することにより、お客さまと従業員にとって心地よい温度環境の提供を実現。

―― 今後GravioのIoTソリューションをさらに活用することで、どのような企業価値を創造していきたいとお考えですか?

――大野氏

冒頭でもお話ししましたが、GravioのIoTソリューションをより有効活用することで業務生産性を高め、ひいてはお客さまに寄り添う時間や人数を増やすことで、「より安く、より優れたサービス」を実現していきたいと考えています。先ほどのレストランの温度管理の例で言えば、お客さまが快適に過ごせる環境を提供するだけでなく、同時に従業員が快適に働ける労働環境を実現することも大事だと思います。「お客さまだけ」「従業員だけ」ではなく、双方にとって心地よい環境を作っていきたいですね。


――最後に、Gravioに対して今後期待されることがあれば教えてください。

――今泉氏

安価かつ迅速に導入でき、アステリアさんにも手厚くサポートいただいたので、不満や要望は今のところほとんど思いつかないというのが正直なところです。ただ強いて言えば、センサーが屋外でも使えるようになったり、ゲートウェイとセンサーの間の距離をもっと伸ばせるようになると、さらに広い用途で活用できるようになるのかなという気はしています。


──ありがとうございました。

400年近い歴史を持つ一の湯では、積極的なDXの一環としてGravioを導入したことで、省人化のみならずヒューマンエラーの抑制にもつながったということです。Gravioはノーコードで使用でき導入が簡単なうえ、一度設置すればその後の管理がしやすい点や、手厚いサポートを受けられる点も特徴です。顧客のみならず、従業員にも快適な空間を作り出せるGravio。「エッジAIデバイスからDXを推進したい」「導入が簡単なものから始めてみたい」といった方は検討してみてはいかがでしょうか。

ノーコードでAIやIoTをより身近に。

様々な「現場」におけるDXを
エッジテクノロジーでスマートに実現。

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