ノーコードでAIやIoTをより身近に「Gravio(グラヴィオ)」| AIポータルメディア「AIsmiley」

2022.11.28 / 更新日:2023.04.11

ぺんてる株式会社 経営戦略室 デジタルシフト課 様 大手製造業におけるAI/IoTを活用したDXを一気に加速、ノーコードでオフィス内DXを短期間のうちに実現

NEW:ぺんてる様のインタビュー事例動画をリリースしました。

大手の文具事務用品メーカーであるぺんてるは、同社のビジネスの中核である「モノ作り力」をDX活用により一層強化すべく、2019年から「工場のIoT化」に取り組んでいる。この取り組みの一環として、同社のIT部門では工場の本番環境と切り離して独自にAIやIoTの検証を行える環境をGravioを使って構築した。その結果、温度・湿度センサーや人感センサー、AIカメラなどを用いたオフィス内データを活用したDXの仕組みを実現するとともに、若手技術者のAI/IoT開発スキルも大幅に向上した。

課題
  • IT部門がAI/IoT技術の検証やテストを自由に行える環境がなかった。
  • AI/IoTのスキルを持つ若手技術者をより多く育成していく必要があった。
  • 工場のIoT化は進んでいた一方、オフィスのIoT化はあまり進んでいなかった。
  • 内製化を視野に入れ、ノーコードで構築できるAI/IoT製品を探していた。
導入
  • Gravioを導入してIT部門が自由に使えるAI/IoT環境をオフィス内に設置。
  • 温度・湿度センサーをサーバ室に設置してリモート監視の仕組みを構築。
  • ドアセンサーや人感センサーをオフィス内に設置して施設の利用状況を把握。
  • オフィスエントランスとサーバールームに顔認証カメラAIを設置し常時入室者を監視。部外者を検出すると管理者へ通知する仕組みを導入
効果
  • 若手技術者がGravioの利用を通じてAI/IoTの開発スキルを短期間のうちに習得。
  • 可視化により、会議室やトイレなど共用施設の利用効率が改善。
  • 目視で行っていたサーバールームの温湿度管理が不要となり、リモート監視により業務効率化に大きく貢献。
  • サーバールームとオフィスエリアの部外者立入りが検知できるようになり、セキュリティ面での安全性が向上。

導入について


ぺんてる株式会社 経営戦略室デジタルシフト課

  • 担当部長 松川 満様(写真右から2番目)
  • 滝口 雄介様(写真右)
  • 栗原 陸様(写真左)
  • 佐藤 全志様(写真左から2番目)

「工場のIoT化」を皮切りに全社を挙げて「デジタルシフト」に取り組む

──まず御社の事業内容について簡単に教えてください。

松川氏 弊社は戦後復興を背景として1946年に設立された会社で、文具・描画材の製造、販売をしています。一般消費者の皆様には筆記用具のメーカーとしておなじみかと思いますが、現在ではタッチパネルやペンタブレットといった電子機器の製造・販売も手掛けており、またB2B分野では産業用ロボットや医療機器などのメーカーとしても知られています。また近年では売上の約3分の2を海外市場が占めており、グローバル企業としての性格を年々強めています。


──デジタル活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)についてはどのような取り組みを行っていますか。

松川氏 2019年から「工場のIoT化」に取り組んでいます。モノ作りの原点に立ち返り、製造の品質や効率をさらに高めるべく工場の生産ラインで稼働する製造機器の状態をIoTセンサーで計測して、そこから収集したデータを分析して製造効率・品質を向上させる活動に取り組んでいます。2年前には、こうしたデジタル活用をより加速させ、世の中のデジタルシフトの流れに素早く追随するべく、経営戦略室の直下に「デジタルシフト課」という部署を新設しました。現在この部署が中心となり、工場のIoT化をはじめとする社内のさまざまなデジタル活用の取り組みを進めているほか、既存システムの維持・運用といった業務も一手に担っています。

 

──今回Gravioを導入いただいたのも、こうしたDXの取り組みの一環だったのでしょうか。

松川氏 はい。工場のIoT化プロジェクトは順調に進んでいましたが、その一方で「工場の本番環境でしかIoTシステムを動かせない」という制約がありました。何か新しい技術を試したいと思っても、本番環境ではなかなか気軽にテストできず、「デジタルシフト課で気軽にIoTの構築やテストを行える環境が別途欲しい」と常々考えていました。
また工場のIoT化が進む一方で、オフィスのIoT化は遅々として進まないという課題もあり、何らかの形で取り組みを始めたいと考えていました。さらには、工場のIoT化プロジェクトに関わっているデジタルシフト課のメンバーは一部のみで、他のメンバーは普段IoTの技術に触れる機会があまりなかったので、特に若手のメンバーがIoTに直接触れてノウハウを習得できる機会を作りたいという思いも持っていました。

 

IT部門専用のAI/IoT環境を構築するために「Gravio」を導入

──こうした課題を解決するためにGravioを導入されたのですね。

松川氏 その通りです。まずはデジタルシフト課で独自にAI/IoTの開発やテストを行える環境を構築することを目指して、AI/IoT製品を導入することになりました。さまざまなAI/IoT製品を選定候補に挙げて比較検討を行いましたが、最終的にGravioが弊社のニーズに最も合致すると判断して導入を決めました。

 

──複数の選定候補製品の中からなぜ最終的にGravioを選ばれたのでしょうか。

松川氏 まず第一にセンサー、ゲートウェイ、動作ソフトウェア、設定ツールといったさまざまな技術要素がオールインワンで提供される点を高く評価しました。これらをバラバラに調達するとなると製品の選定や評価、調達手続きなどに多くの時間と手間を要しますが、Gravioならすべてが一体で提供されるためすぐ利用を始められます。
またプログラミング作業を行う必要がなく、ノーコードで単に設定できる点も魅力的でした。若手メンバーが時間をかけることなくAI/IoTのノウハウを習得するためには、こうしたノーコード開発のスタイルが最も適していると考えました。さらには、将来的にDXの取り組みを内製化していくことを視野に入れた場合、ノーコードでAI/IoTデータを扱える技術に慣れておくことは有意義だと考え、最終的にGravioの導入に至りました。

 

──Gravioを導入後、どんな取り組みに着手されたのでしょうか。

滝口氏 私はもともと工場のIoTプロジェクトに関わっていましたので、私を中心に4名の若手メンバーでプロジェクトを立ち上げました。今回はGravioの導入と同時に、BIツールの「Qlik Sense」も新たに導入し、Gravioのセンサーで取得したデータを最終的にQlik Sense上で可視化するという一連の仕組みを、一から自前で構築することを目指しました。
構築の効率を考えれば、本来は「Gravioに2名、Qlik Senseに2名」といった具合に担当を分けた方が効率的なのですが、今回は「AI/IoT開発のスキル習得」を導入目的の1つに掲げていましたから、あえて全員がGravioのセンサーデータの取得からQlik Senseの画面構築までの作業を一通り経験できるよう担当を割り振りました。

サーバ室の温度・湿度の監視をGravioでリモート実行

──具体的にはどのような用途にGravioを適用したのでしょうか。

滝口氏 まずは、Gravioの温度・湿度センサーや人感センサー、ドアセンサーをオフィス内に設置して、それらのデータをQlik Sense上で可視化する仕組みを開発しました。例えば、トイレの個室のドアにドアセンサーを設置して、トイレの空き状況をQlik Sense上でリアルタイムに確認できる仕組みを実現しました。また会議室に人感センサーを設置して、実際に会議室が使われているかどうかを可視化する仕組みも構築しました。




さらには、社内のサーバ室に温度・湿度センサーを設置して、リアルタイムの測定値をQlik Sense上で確認できる仕組みも実現しました。もし測定値がしきい値を超えた場合はQlik Sense上にその旨を表示するとともに、担当者に対してLINEで知らせる仕組みも実装しました。

──AI/IoT未経験のメンバーが大半を占める中、こうした仕組みを一から構築するのは大変だったのではないでしょうか。

滝口氏 Gravioの導入や設定作業に関しては、アステリアの担当者の方がとても熱心に対応してくださったので、非常にスムーズに運びました。また設定時に分からないことが出てきた場合も、サポート窓口に問い合わせれば当日中に的確な回答をいただけたのでとても助かりました。
さらには、アステリアさんが公開しているブログでGravioに関するさまざまな技術情報が公開されているので、これを参照することで幾つかの技術課題を解決することもできました。例えば、今回私たちが構築したシステムではGravioのセンサーが取得したデータをいったんGoogleスプレッドシートに保管し、さらにその内容をQlik Sense上に表示するという方法を採っていますが、アステリアさんのブログにGravioとGoogleスプレッドシートを連携させる方法が詳しく載っていたため、これを参照しながらスムーズに開発を進めることができました。

 

──こうしたオフィス内IoTの仕組みを構築した結果、社員の方々からどんな反応がありましたか。

滝口氏 現時点ではまだ課内での利用に留まっているのですが、サーバ室の温度・湿度センサーの仕組みは現場担当者にとても好評ですね。これまではサーバ室の温度・湿度をチェックするためにいちいち現場に足を運ばなければならなかったのですが、Gravio導入後はリモートで状態をチェックできるようになり、また異常値が検知された場合はLINEで通知してくれるため、作業が大幅に効率化できました。
またこれまでは「会議室を予約しても結局利用しない」というケースが課内で多発していたのですが、Gravio導入後は人感センサーで実際に会議室が利用されているかどうかリアルタイムで確認できるようになったため、会議室の不要な予約を抑制する効果を発揮してくれるのではないかと期待しています。

休日のオフィスフロアを往来する人物をカメラAIで自動認識

──その後、カメラAIも追加導入されたとお聞きしています。

滝口氏 はい。アステリアさんからGravioのカメラAIの活用提案があり、実際に試したところ「これはいろんな用途に活用できそうだ」と判断し、実際の導入に至りました。現在サーバ室とオフィスフロアのエントランスに設置して、「入場してきた人物がデジタルシフト課の課員かそれ以外か」を判定できるようにしています。
デジタルシフト課が入っているフロアは、平日は他の課員も比較的多く往来するのですが、土日は通常はデジタルシフト課のメンバーしか出入りしないため、土日に限っては課員以外の人間をカメラAIが認識したら担当者にLINEで通知するようにしています。またこれらAI画像認識データも他のセンサーデータと同じく、Qlik Senseで集計・可視化できるようにしており、現在フロアの人員の往来を曜日や時間ごとに分析しているところです。


──当初の目的の1つであった「プロジェクトメンバーのAI/IoTスキルの向上」は達成できましたか。

松川氏 はい。IoTのデータは一般的な情報システムが扱うデータとはかなり特性が異なり、センサーのON/OFFの情報だけで成り立っています。これら大量の信号データを効率よく扱いながら、それらの中から意味を見いだしてうまく活用していくためには独特のノウハウやスキルを必要としますが、今回のプロジェクトに参加した若手メンバーはGravioの開発を通じてそのコツをつかんでくれたのではないかと思います。

 

──今後どのような形でGravioの利用を発展させていきたいとお考えですか。

滝口氏 今回オフィスのサーバ室のリモート監視をGravioで実現できましたが、今後は各工場に設置されているサーバ室の状態も同じくGravioを使って監視できるようにしていきたいと考えています。またカメラによる画像認識AIには大きな可能性を感じており、例えばIoTセンサーを設置できない古い生産設備の計器の状態をカメラAIで認識し、異常を自動検知するような仕組みも検討しています。今後はGravioで培ったノウハウを生かして、工場IoTの取り組みをさらに高度化していきたいですね。


──ありがとうございました。

ご担当者様から一言

ぺんてる株式会社 経営戦略室 デジタルシフト 担当部長
松川 満様IoTデータの取り扱いには一般的な情報システムとは異なる独特のコツが必要ですが、今回のGravioの導入・開発プロジェクトを通じて多くの若手メンバーがIoT開発の勘所をつかんでくれたのではないかと思います。今後はオフィスだけでなく、他部署、工場への展開なども検討していきたいと考えています。
ぺんてる株式会社 経営戦略室 デジタルシフト課
滝口 雄介様AI/IoTの開発経験がないプロジェクトメンバーが多かったのですが、Gravioの導入や利用に当たってはアステリアの担当者の方に親身にサポートしていただいたおかげで、とてもスムーズに作業を進めることができました。
ぺんてる株式会社 経営戦略室 デジタルシフト課
所在地   〒103-8538 東京都中央区日本橋小網町7-2
URL    https://www.pentel.co.jp/
設立    1946年3月
事業内容  文具事務用品(画材、筆記具など)の製造販売 電子機器(タッチパネル、タッチスイッチ、
ペンタブレットなど)の製造販売 産業用ロボット、産業用自動組立機、射出成形用精密金型、
精密ハンドプレスの製造販売 化成品関連製品(化粧品部品、医療機器など)の製造販売

ノーコードでAIやIoTをより身近に。

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